- LOOK 795 BLADE2 RS(Gen 2 / 2025モデル)の走行インプレッションと、前作からの進化ポイント
- フレーム重量940g(Mサイズ・塗装済み)、T47-85.5 BB規格、最大32cタイヤクリアランスなど主要スペックの正確なデータ
- 風洞実験に基づくエアロ性能の参考値と、Tarmac SL8・Aeroad・Madoneとの客観的な比較
- 785 HUEZ2のヒルクライム性能・ジオメトリ変更点・乗り心地・下り安定性の実態
- サイズ感と身長別の選び方、COMBO AEROハンドルのステム長・ハンドル幅の調整方法
- 2025年の価格・在庫・納期の最新状況と、フレームセット880,000円の「真のコスト」
- コフィディスのツール実績、おすすめコンポ構成、中古相場まで含めた購入判断の全情報
はじめに
冬の朝、峠道に差しかかるとき。ふと前を走る一台に目を奪われた経験はないでしょうか。
ダウンチューブの鋭い断面。モンドリアン調の塗装。すれ違いざまに「あれ、LOOKだ」とつぶやいた方は少なくないはず。
LOOK 795 BLADE2 RS——フランス・ヌヴェールの工房で生まれたこのエアロロードは、2024年のフルモデルチェンジ以来、世界中のシリアスライダーを虜にしてきました。
けれど日本語のインプレ情報はまだ限られています。
「硬すぎないか」
「ヒルクライムでも通用するか」
「SL8とどっちがいいか」
「88万円に見合うのか」
——夜な夜なタブを増やし、断片情報をかき集めても「判断の軸」が見えてこない。胃がキリキリする、あの感覚。よくわかります。
30年以上この業界にいる私でも、795 BLADE2 RSは「乗らなければ本質が掴めない」バイクだと感じています。
本記事では技術データと実走感覚の両面から真実をお伝えします。
クライミングモデル785 HUEZ2のインプレも網羅しました。
読み終えたとき「自分に合うか合わないか」がクリアになっている——そんなガイドを目指しています。
「進化」ではなく「革命」——795 BLADE2 RSの正体を暴く

前作Gen 1から何が変わったのか|フレーム単体で約310gの軽量化
「マイナーチェンジ」という言い方は、このバイクには不釣り合いです。
LOOK開発チームはCofidis(コフィディス)と2年がかりの共同開発を経て、ゼロからフレームを再設計しました。
最も大きな転換点は、UHM(ウルトラハイモジュラス)カーボンの採用比率を大幅に引き上げたこと。
UHMカーボンとは、一般的なカーボン繊維より弾性率が格段に高い素材を指します。
ざっくり言えば「同じ重さでより硬くできる」半面、もろくなりやすいリスクを抱える繊維です。
LOOKはこの弱点を独自の積層設計で克服し、走行品質を保ったまま大幅な軽量化を実現しています。
具体的な数値を見てみましょう。データ取得元はCyclingnews(2026年2月アクセス)の実測値およびLOOK公式サイトの公称値です。
| コンポーネント | Gen 1(推定) | Gen 2(実測/公称) | 軽量化幅 | 条件 |
| フレーム(Mサイズ) | 約1,250g | 940g | 約-310g | 塗装済み・ハードウェア込み |
| フォーク(未カット) | 約480g | 441g | 約-39g | — |
| シートポスト | 約290g | 160〜169g | 約-120g | ハードウェア込み・350mm |
| 完成車(Dura-Ace Di2) | 約8.0kg | 7.41〜7.48kg | 約-550g | ペダルレス実測 |
フレームだけで310gの減量は、ボトル1本分以上に相当します。
ただし「940g」は塗装済み・ハードウェア込みの値になります。
インターネット上では、「790g」「905g」といった数字を見かけることもありますが、サイズや塗装条件の差異にすぎません。
比較する際は計測条件を必ず確認してください。
完成車で7.4kg台はエアロロードとしてトップクラスの軽さです。
【歓喜】あの忌々しい異音から解放——T47 BB規格への大転換
ロードバイクの現場を長年見てきた人間にとって、圧入式ボトムブラケットの異音ほど胃が重くなるトラブルはありません。
LOOKは従来、独自のBB386規格を採用していました。
性能面では優秀でしたが、走行中に「パキッ」「カチカチ」と鳴る不快なサウンドが持病のようについて回ったのです。
Gen 2ではここを思い切ってT47-85.5(スレッド式)に刷新しています。
T47は、カーボンBBシェルにアルミニウム製ネジ切りカップを挿入する構造になっています。
30mmスピンドルを含む主要クランク規格に幅広く対応でき、メンテナンス性も圧倒的に高い仕組みになっています。
また、圧入式のように専用工具で叩き込む必要はなく、通常のトルクレンチで締め込むだけです。
私自身、圧入BBのトラブルは何度も目にしてきました。
個体差でクリアランスがずれ、走行中にパキパキ鳴り始める。グリスを塗り直しても再発し、ライダーの表情が曇るあの瞬間を数え切れないほど経験しています。
T47は「BBの呪い」を断ち切る英断と言えるでしょう。
なお、T47-85.5の「85.5」はシェル幅85.5mmの意味です。一般的なT47規格(シェル幅68mmまたは86.5mm)とは微妙に異なります。
BB選びの際は「T47-85.5対応」を必ず確認してください。
Shimano、SRAM、Campagnolo、Rotorなど主要メーカー向けアダプターは市販されていますが、適合を事前に確認しておくと安心です。
COMBO AEROハンドル|モジュラー方式の功罪
コックピット周りの設計にも、LOOKらしい哲学がにじんでいます。
昨今のエアロロードではステムとハンドルが一体化した「ワンピース型」が主流になっています。
空力面で有利ですし、見た目もスッキリしますね。
にもかかわらず795 BLADE2 RSは、あえてステムとハンドルを分離させた「モジュラー方式」(LOOK Combo Aero Carbon)を選びました。
狙いはフィッティングの自由度の最大化にあります。
ステム長は80mmから120mm、ハンドル幅は380mmから440mmまで独立して交換可能です。
体格やライディングスタイルに合わせた微調整が効く点は、実際にポジション出しをする場面で非常にありがたいでしょう。
けれども影がないわけではありません。
重量はハンドル約215g+ステム約140gの合計約355gにもなります。
ワンピース型ライバルと比べると50〜80g重い計算です。
さらに痛いのが交換コストではないでしょうか。
LOOK公式サイトのパーツ価格表を参照し、「ハンドル約600ドル+ステム約600ドル+プロショップ工賃」をリサーチしてみました。
結果はおよそ20万円前後の追加出費リスクとなります。独自規格ゆえにサードパーティ製は使えず、サイズ変更のたびに財布が軽くなる覚悟が要るわけです。
ジオメトリ分析|あなたの身長で本当に乗れるか
795 BLADE2 RSのジオメトリは、Cofidisのプロ選手からのフィードバックを直接反映した「レーシング・アグレッシブ」設計です。
Geometry Geeks(2024年データ)を参照すると、主要数値は以下のとおりになります。
| サイズ | スタック(mm) | リーチ(mm) | S/R比 | ヘッド角 | シート角 | BBドロップ(mm) |
| XXS | 491 | 363 | 1.35 | 70.7° | 75.0° | 76 |
| XS | 511 | 378 | 1.35 | 71.8° | 75.0° | 76 |
| S | 536 | 388 | 1.38 | 72.3° | 75.0° | 74 |
| M | 558 | 398 | 1.4 | 73.0° | 74.5° | 72 |
| L | 582 | 408 | 1.43 | 73.0° | 74.5° | 72 |
| XL | 610 | 420 | 1.45 | 73.0° | 74.5° | 70 |
着目すべきはS/R比ですね。
Sサイズ以下で1.35〜1.38という数値は、かなり攻めたポジションを意味します。
ハンドル位置が低く前傾が深まる設計で、身体の柔軟性に自信のある競技志向ライダー向けのセッティングになります。
たとえば、身長165cm前後でXSを選ぶ場合、スペーサーを20mm以上積まないと快適なポジションを出せないかもしれません。
シート角74.5°〜75.0°という立った角度も見逃せないポイントです。
TTバイクに近い前乗りを許容し、高出力時のペダリング効率を高める設計になっています。
ただしシートポストのセットバックは13.5mmの一種類しかなく、大腿骨が長い方や後ろ乗りを好む方にはポジション出しの壁になり得ます。
そのため、試乗なしでサイズを決めるにはリスクが大きいバイクです。
正規取扱店での試乗を強くおすすめします。
風洞データと走行感|「フランスの刃」は本当に速いのか

風洞実験が明かすエアロ性能の「立ち位置」
「Blade(刃)」を名乗る以上、空力性能が気にならないはずがありません。第三者機関であるTour MagazinやCyclingnewsの風洞試験データを見てみましょう。
40km/h走行時に空気抵抗に打ち勝つために必要なワット数の比較です。
ただし各テストはリム・タイヤ・ライダー姿勢・ヨー角などの条件が完全に統一されていない点を念頭に置いてください。
あくまで参考値として捉えるのが妥当です。
| モデル | 必要パワー(40km/h) | 最速モデルとの差 |
| Factor OSTRO VAM | 約274.0W | 基準(0W) |
| Specialized Tarmac SL8 | 280.2W | +6.2W |
| LOOK 795 BLADE2 RS(Gen 2) | 286.3W | +12.3W |
| Trek Emonda ALR(ベースライン) | 304.7W | +30.7W |
正直に言って、795 BLADE2 RSは「最速のエアロロード」ではありません。
Factor OSTRO VAMに約12W、Tarmac SL8にも約6Wの差をつけられています。
40km/hで1時間走り続けた場合、Tarmac SL8との6Wの差は約40秒の遅れに相当する計算です。
タイムトライアルであれば見過ごせません。
しかし実際のロードレースは単純な定速走行の比較では片付づけられません。
加減速、コーナリング、登坂、下り——複合的な局面が次々と押し寄せるのが実戦の姿です。
ここで浮かんでくるのが、LOOKが狙った「実戦での総合効率」という設計哲学です。
特定のヨー角でのピーク性能ではなく、あらゆる風向きに対して安定した空力特性を発揮することを想定して設計しています。
なぜなら、チューブ径をあえて細くし前面投影面積を削減しつつ、横風耐性と軽量化を両立する
——このバランスが、山岳ステージを含むグランツールでの最適解だという判断です。
実際に2023年のツールではCofidisがステージ2勝(Victor Lafay:第2ステージ、Ion Izagirre:第12ステージ)を挙げています。
数値で最速でなくてもレースでは勝てる。そこに、このバイクの思想が凝縮されているように感じます。
実走インプレ|「外科手術のような正確さ」の意味
スペックシートを離れ、実際のライドフィーリングを言葉にしてみます。
BB周りの剛性についてですが、Gen 2では前作比で7%向上しているとされます。
測定条件や比較対象の詳細は公開されておらず、あくまでメーカー公称値としてお伝えしたとしても、それでも、ペダルを踏んだ瞬間の感覚はかつてのLOOKとはまるで別物です
585、595、695といった名機に乗っていた方なら、最初の一漕ぎで驚くはずです。
あの独特の「バネ感」——踏んだ力がフレームにわずかに吸い込まれ、しなりの反発で身体を押し出す感覚——はGen 2で意図的に封印されました。
代わりに現れたのが、海外メディアが「Surgical(外科手術のような)」と評する冷徹なレスポンスです。
ハンドルを切れば即座にバイクが追従し、踏んだ力はダイレクトに路面へ伝わる。「タメ」も「遊び」も存在しません。
例えるなら、かつてのLOOKが「熟成ブルゴーニュ産の赤ワイン」で、Gen 2は「研ぎ澄まされたボルドー産の辛口赤ワイン」と表現するとわかりやすいでしょうか?
余韻よりも一撃の切れ味。現代のワールドツアーが求めるスピード域への必然の進化です。
この感覚を「硬すぎる」と受け取るか「頼もしい」と受け取るかは、脚力とスタイル次第。
週末に仲間とゆったり走るなら前者、レースでの一瞬のアタックに賭けるなら間違いなく後者です。
振動吸収と快適性|覚悟すべき「スパルタンな乗り味」
剛性の裏返しとして、快適性には厳しい評価が並びます。
Tarmac SL8やTrek Madone Gen 8と比べると、795 BLADE2 RSは路面の微細な振動をライダーに伝えやすい傾向があります。
たとえば、SL8には極細シートポストが、MadoneにはIsoFlowと呼ばれる振動吸収機構が搭載されていますが、LOOKにはそうした物理的な「逃げ場」がありません。
シートステイのブリッジを廃止してリアトライアングルのしなりで対応しようとしているものの、ライバルと並べると「ダイレクト」かつ「スパルタン」という印象はぬぐえないでしょう。
だからこそタイヤ選びが生命線になります。
28mm〜30mm幅のチューブレスタイヤを低めの気圧で運用するのは事実上の必須条件になるでしょう。
タイヤクリアランスは最大32cとLOOK公式が明記しており、ワイドタイヤの選択に制約はありません。
推奨セットアップの一例を紹介しましょう。
Continental GP5000 S TR(28cか30c)をチューブレスで運用し、体重65kgなら前輪4.8bar/後輪5.2bar付近がスタートラインでいいでしょう。
バーテープも厚み3mm以上を選ぶと手への振動を緩和できます。このバイクの性格に最もフィットするのは60km以内のレースやトレーニングがベストです。
100km超のロングライドが多い方は、快適性の問題を真剣に考えてください。
ヒルクライム性能|「重量を隠すキレ」の秘密
多くのライダーが知りたいのはここではないでしょうか。940g(Mサイズ・塗装済み)というフレーム重量は、S-Works Tarmac SL8の685gと比べると見劣りするように見えます。
それでも登坂性能の高い評価が特徴的です。
なぜなら、「クライマーズ・エアロバイク」と称される理由は、剛性が生み出す圧倒的なレスポンスにあります。
ダンシングでバイクを左右に振るアグレッシブな登坂で真価を発揮するタイプで、BB周りにウィップ感がないため、入力したパワーがそのまま推進力へ変換されます。
淡々とシッティングで回すクライマーよりも、アタックを繰り返すレーサータイプに向いている印象です。
では実際にどの程度の影響があるのか、検討してみます。取得方法はBike Calculatorの勾配別パワー計算式で計算してみましょう。
計算式
体重65kgのライダーが勾配8%の坂を5km登る場合、フレーム重量差255g(940g vs 685g)を250Wの出力条件
結果は約3〜4秒の差。
たった3〜4秒。レースの勝敗を分ける局面もあれば、完全に誤差の範囲に収まることもある数字です。
この程度の重量差なら、剛性によるパワー伝達効率の向上やエアロ効果で相殺できる可能性が十分にあります。
つまり795 BLADE2 RSは「重い分だけ遅い」バイクではなく、登りでも総合力で戦えるマシンなのです。
「数字ほど重くない」——この不思議な体感は、ペダルを踏んだ者にしかわからないかもしれません。
Tarmac SL8・Madone・Aeroadと真剣勝負|ライバル比較の決定版

VS:Specialized Tarmac SL8|「優等生」と「個性派」の分水嶺
ハイエンドロードバイク購入を検討するとき、ほぼ必ず名前が挙がるのがTarmac SL8です。
SL8は軽さ・エアロ・快適性のすべてで80〜90点以上をマークする「オールラウンダーの王者」。
S-Worksグレードのフレーム重量685gは業界最軽量級、風洞データでも280.2W(40km/h)と立派な数値を出します。乗り味はしなやかで軽快、万人受けするバランスが最大の持ち味でしょう。
対して795 BLADE2 RSは、剛性と反応性にパラメータを振り切った「尖った」存在です。身体でこの違いを感じるのはコーナーの立ち上がりでしょう。
SL8はスムーズに速度が伸びていく心地よさがあるのに対し、795は「ガツンッ」と前へ飛び出すような感覚を味わえます。
集団から抜け出す一瞬に賭けるライダーにとって、この差は勝敗を左右する重要なポイントですね。
長距離グランフォンドなら圧倒的にSL8。クリテリウムやテクニカルコースなら795。それが基本の使い分けです。
もうひとつ見逃せないのが「入手性」の差です。
Specializedは国内流通網が充実しており、試乗環境もアフターサポートも手厚いのがうれしいですね。
一方、LOOKは2025年11月のユーロスポーツインテグレーション閉業以降、フレームの国内流通体制が再構築の途上にあります。
ペダル事業は株式会社ポディウムが引き継いでいますが、フレームに関しては執筆時点で体制が安定していない状況です。この現実は、購入判断において無視できません。
「性能だけ」を比べれば互角に近い。けれど「バイクライフ全体の満足度」を含めると、SL8のほうが安心という方が多いかもしれません。
それでも795を選ぶ理由があるとすれば——
数値で測れない「ブランドの美学」や「フレンチレーシングバイクを所有する誇り」への共感でしょう。
VS:Trek Madone Gen 8|快適性の「格差」をどう評価するか
Madone Gen 8はIsoFlowテクノロジーによって、エアロロードでありながら驚くほどの快適性を実現したバイクです。
795 BLADE2 RSにはこうした機械的な振動吸収ギミックがないため、荒れた路面での疲労蓄積はMadoneが明らかに少ないと言えるでしょう。
特に、150km超のロングライドでは体へのダメージに差が出やすくなります。
また、巡航の質にも違いがあります。
Madoneは一度スピードに乗ると水面を滑るように進む感覚があるのに対し、795は巡航中も路面の情報が「パキパキ」と伝わってくる。
「情報量が多い」とポジティブに捉えることもできますが、長時間になると煩わしさを感じる方もいるはず。美しさか、機能か——。これを決めるのは、あなたです。
VS: Canyon Aeroad|コストパフォーマンスという「現実」
直販モデルで圧倒的なコスパを誇るCanyon Aeroadも、比較対象から外すわけにはいきません。
Aeroadの最大の武器は価格です。
同等グレードのコンポを搭載した完成車で、795 BLADE2 RSのほぼ半額というモデルも存在します。
風洞データも優秀で、「速さ対価格」の比率はAeroadが圧勝のようです。
ただし直販ゆえにサイズ選びは自己責任、試乗環境も限られます。
乗り味は「ニュートラルで癖がない」と評されることが多く、795のような個性は薄めのセッティングになっています。
バイクに「道具以上の何か」を求めるかどうかで、判断は大きく変わるはずです。
比較総括|あなたの優先順位で最適解が変わる
| 特性 | LOOK 795 BLADE2 RS | Tarmac SL8 | Madone Gen 8 | Aeroad |
| 設計思想 | 外科的な鋭さと剛性 | 軽さと空力の黄金比 | IsoFlowによる快適性と空力 | コスパとエアロの両立 |
| 乗り味 | 硬い・ダイレクト | しなやか・万人向け | 振動吸収が高い・巡航が楽 | ニュートラル・素直 |
| エアロ(40km/h) | 286.3W(参考値) | 280.2W | データ非公開 | 優秀(同等クラス) |
| フレーム重量 | 940g(M) | 685g(S-Works) | 796g(SLR) | 約830g |
| 快適性 | △ | 〇 | ◎ | 〇 |
| 独自性・所有欲 | ◎ | 〇 | 〇 | △ |
| 日本での入手性 | △(流通再構築中) | ◎ | ◎ | 〇(直販) |
785 HUEZ2徹底インプレ|「アルプスの名を冠する」クライミングバイクの全貌

785 HUEZ2とは何者か|795との棲み分けを知る
LOOK 785 HUEZ2は、フランス・アルプ・デュエズ峠の名を背負うクライミング専用モデルです。
795 BLADE2 RSが「エアロ×レース」のフラッグシップなら、785 HUEZ2は「軽量×登坂」に焦点を絞った一台でしょう。
LOOKのラインナップで両者は明確に役割を分けています。
最大の技術的特徴はナノレイヤーテクノロジーによるカーボン積層。
また、ヘッドチューブとBB周辺のパワー伝達部を強化しつつ、シートチューブからシートステーにかけては振動減衰性を高める設計です。
795の「全方位に硬い」性格とは対照的に、「必要な箇所だけ硬く、それ以外はしなやかに」というメリハリが効いています。
価格はフレームセットで795の約半額。「LOOKに乗りたいけど88万円は厳しい」という方にとっては、最も現実的な入口となるでしょう。
ジオメトリ変更の恩恵|低重心化で「下り」が変わった
先代の785 HUEZから低重心ジオメトリへ更新され、ワイドリム対応とタイヤクリアランス最大32cへの拡大が施されました。
この変更がもたらす最大のメリットは、ズバリ下りの安定性でしょう。
重心が下がったことで、高速ダウンヒルやタイトコーナーでの挙動が穏やかになったとの評価が複数上がっています。
ヒルクライムバイクは登りの性能ばかりにスポットが当たりがちですが、レースで勝つには下りの安心感も欠かせません。
ヘッドシステムにはTOKEN C-BOX規格を採用し、LS3ステムによるセミ内装・フル内装の両方にも対応しています。また、795の完全内装と比べるとメンテナンス面で扱いやすいのも利点です。
乗り心地インプレ|「硬すぎない」という美徳
785 HUEZ2の走り味をひと言で表すなら、「795の刃物のような鋭さを少しだけ丸めた感覚」。
ナルシマフレンド(東京・千駄ヶ谷の老舗プロショップ)のインプレッションでも、「踏んだ感じが硬すぎないのが良い」「ジオメトリ変更の恩恵で安定感のある素直なバイク」と評されています。
ペダリングの触感も異なります。
795がクランクを踏んだ瞬間に「バシッ」と反応するのに対し、785 HUEZ2は「スッスッ」と滑らかに前へ進む感覚が味わえます。
パワー伝達にわずかな「溜め」があるのですが、不快なロスではなく、ケイデンスのリズムを整えてくれる心地よさがあります。
長い登りで一定ペースを刻みたいクライマーにとって、このフィーリングは大きなアドバンテージになり得るでしょう。
また、ホイール選びで印象が変わる点も興味深い点です。
軽量ホイールではフレームの軽さを活かした加速感が得られ、ディープリムではスピードの伸びと下りの安定性が向上することは特筆すべき点です。
「味変」できる懐の深さは、785 HUEZ2ならではの魅力と言えます。
さらに、ステム周りの自由度が高い点も見逃せません。
TOKEN C-BOXとLS3ステムの組み合わせにより、汎用ステムやハンドルとの互換性が確保されています。
795の「専用品縛り」に二の足を踏む方にとっては、地味ながら大きなポイントです。
入手性の現実|「見つけたら即決」しかない
残念ながら、厳しい現実を正直にお伝えしなければなりません。
2025年モデルの785 HUEZ2は、多くのショップで全サイズ完売の状況が続いているようです。残念ながら、ユーロスポーツインテグレーション閉業後の流通混乱は、こちらにも直撃しています。
入手を狙う方への唯一のアドバイスは、「複数の正規取扱店に同時に問い合わせ、在庫が確認できた時点で即決すること」しか方法がないようです。
迷っている時間は、文字通りありません。
なお785 HUEZ2は電動コンポだけでなくワイヤー式にも対応しています。
795 BLADE2 RSが電動専用であるのに対し、SHIMANO 105のメカニカル仕様など予算を抑えた組み方が選べるのは嬉しい相違点です。
購入前に知るべき「リアルな課題」|オーナーシップの光と影

D型コラムの構造的懸念|過度な恐れは不要、されど軽視は禁物
いきなりですが美しいバイクにも、構造上の課題は潜んでいます。包み隠さずお話しします。
795 BLADE2 RSのフォークコラムにはご存じの方も多いと思いますが、D型断面が採用されています。
ケーブル内装のための設計で、通常の円形ではなく一面がフラットに切り落とされた形状です。
D型断面は角部分に応力が集中しやすく、せん断力やねじれに対して円形より不利な傾向があります。
海外ではコラム破損が一部報告されており、Hambini氏が構造解析の観点から問題提起を行っています。
ただし公式に設計欠陥と認定されたわけではなく、特定の使用条件下での個別事例である可能性も残ります。
早合点して「全個体に共通するリスク」と断定するのは早計です。
また、ヘッドセットの緩みも散見される課題のようです。
構造上、予圧管理がシビアで、走行距離100〜1000km程度でガタつきや異音が発生するとの報告があります。
500km走行ごとのトルクチェックとカーボングリスの塗布を習慣にしてください。
セルフメンテに自信がなければ、信頼できるプロショップとの関係構築が不可欠です。
D型コラムを採用するメーカーはLOOKに限りません。業界全体でケーブル内装化と構造強度のバランスに取り組んでいる最中です。
過度に恐れる必要はないものの、リスクを正しく認識し、こまめな点検を怠らないことが大切なようです。
独自規格のコスト|「専用品地獄」への覚悟
COMBO AEROハンドルとステムの独自規格は先に触れましたが、問題はそれだけにとどまりません。
専用シートポスト「Aeropost」のヤグラ部品、ディレイラーハンガー、ケーブルガイドなど、消耗品レベルのスモールパーツまで独自設計です。
そのため、破損しても汎用品での代用は、残念ながらできません。
ESI閉業後は、フランス本社からの取り寄せが基本となりますので、数週間から数か月の待ち時間が発生する覚悟が必要になるでしょう。
それでは、あえて「真のコスト」を試算してみましょう。
取得方法は公式パーツ価格と予備パーツ費用の加算。
880,000円(フレームセット)+
ディレイラーハンガー予備15,000円×2個+
海外送料5,000円。
結果は約915,000円になります。
本体価格では済まないうえ、パーツが手に入らないリスクは金額に換算しきれません。
塗装の美しさ|数値では測れない「選ぶ理由」
ここで、声を大にして伝えたいことがあります。
確かに、795 BLADE2 RSの塗装品質は、文句なしに美しい。
「Iconic Black Radial」の放射状グラフィック、「Pro Team White」の清潔感にうっとりしてしまいます。
モンドリアンカラーを現代的に再解釈したデザインは、ロードバイクという「動く彫刻」の可能性を感じさせます。
カフェに立てかけたときの存在感、走行中のシルエット。TarmacやMadoneで埋め尽くされたサイクリングロードにおいて、LOOKは一目でそれとわかる個性を放つでしょう。
「人と同じ」を嫌う美学者にとって、LOOKを選ぶ最大の理由はここにあると感じます。
私はそう確信しています。
おすすめコンポ構成|フレームセットから組む理想の一台
795 BLADE2 RSは電動コンポ専用設計になります。
選択肢は
SHIMANO Dura-Ace Di2、
ULTEGRA Di2、
SRAM RED AXS、
Force AXS、
Campagnolo Super Record Wireless
に限られます。
コストと性能のバランスではSHIMANO ULTEGRA Di2が最も現実的になります。
変速性能はDura-Aceと体感で差がつきにくく、価格差10万円以上をホイールに回すほうが走行性能の向上幅は大きいはずです。
さらに、ホイールは28mm以上のチューブレスに対応するワイドリムを選びましょう。
タイヤはGP5000 S TR(28c〜30c)が鉄板で、体重70kgなら前5.0bar/後5.5bar程度がスタートラインになるでしょう。
私からのアドバイスとしては、フレームの硬さをタイヤで補う意識を忘れずにセッティングをしましょう。
価格・在庫・納期の最新事情|2025年の「買い時」を見極める

フレームセット880,000円の価値を問い直す
国内定価880,000円(税込)。これはフレーム(フォーク、シートポスト、ヘッドセット等含む)のみの価格です。
ULTEGRA Di2で組むと総額約160万円、Dura-Ace Di2なら約200万円に達する計算になってしまいます。
ライバル車である、Tarmac SL8のS-Worksフレームセットが約79万円台、Madone SLRが約60万円台(いずれも目安)という水準と比べると、795は「プレミアム帯」の上限付近になってしまいます。
ただしPinarello Dogma Fの100万円超を考えれば突出しているとも言い切れません。
問題は「安心」がどこまで含まれるかです。
国内流通体制が不安定な現状では、初期不良対応や保証ルートが不透明ですが、LOOK公式サイトでのLOOK+プログラム登録を購入後30日以内に済ませることが最低限の自衛策です。
2018年6月1日以降製造のフレーム・フォークが対象で、初代オーナー限定の生涯保証が担保されており、手続きはシリアルナンバーと購入証明書の画像をアップロードするだけなので、購入したら真っ先に完了させてください。
在庫状況と中古市場|「待つ」ことすら難しい現実
2026年2月時点の在庫は、率直に厳しい状況です。
多くのサイズ・カラーが主要取扱店で完売しており、新規入荷の見通しは流通再構築が進まない限り不透明な状況です。
並行輸入もゼロではありませんが、正規保証の不適用、専用パーツの調達困難、プロショップでのメンテナンス拒否リスクなどを検討するとデメリットが大きすぎます。
長期コストを考えれば正規ルートが合理的でしょう。
中古のGen 2は市場に出回り始めたばかりで流通量は、まだごく少数です。
Gen 1ならフレームセット40万円台後半〜60万円台が目安ですが、フルモデルチェンジを経た性能差を踏まえると「Gen 1を安く買う」のと「Gen 2を定価で買う」のは本質的に別の買い物です。
中古を検討する場合は、D型コラム周辺のクラック、ヘッドセットの状態、専用パーツの欠品を必ず確認してください。
2026年モデルの展望|コフィディスはカンパニョーロへ
2026シーズンに向けて、LOOKはCofidisとのパートナーシップを更新しました。
コンポーネントをシマノからカンパニョーロ(Super Record Wireless、Bora Ultra WTO)へ変更し、新カラー「Iconic Black Radial」も追加されています。
日本市場ではシマノのシェアが圧倒的であり、カンパニョーロ仕様完成車の正規輸入は限定的になる見込みのようです。
フレーム設計に変更がなければ、「2025年モデルのフレームセットを確保し、好みのコンポで組む」戦略が最も現実的と言えるでしょう。
Q&A|よくある質問にお答えします。

- 795 BLADE2 RSは「硬すぎる」と聞きますが、実際どうですか?
硬いのは事実。ただし「硬すぎる」かはライダーの体重・脚力・走行距離しだいです。体重60kg以下で100km超のロングライドがメインなら厳しさを感じる可能性が非常に高いでしょう。
逆に70kg以上でクリテリウムや短距離レース中心なら、この硬さはかえって武器になるで可能性は高いと思われます。
また、28c以上のチューブレスを低圧運用することで体感はかなり緩和されるでしょう。
- 785 HUEZ2と795 BLADE2 RS、ヒルクライムにはどちらが向きますか?
純粋な登りオンリーなら785 HUEZ2に軍配が上がります。
フレーム重量が軽く振動吸収性も高いため、長い登坂での疲労が少なくなります。レースで「登りのあとにアタック」や「下りからの再加速」が必要な場面では、795の剛性とエアロが活かせる戦略が考えられます。
Mt.富士ヒルクライムなら785、ツール・ド・おきなわなら795、というのがひとつの目安です。
- T47-85.5とは何ですか?手持ちのクランクは使えますか?
スレッド式BBの規格で、85.5はシェル幅85.5mmを指します。
Shimano、SRAM、Campagnolo、Rotorなど主要メーカー向けアダプターは市販されていますが、T47-85.5に対応しているかどうか事前確認を必ず行ってください。
- Tarmac SL8と迷っています。決め手は?
「どんな走りがしたいか」と「何を我慢できるか」で決まります。
万能さと入手性を重視するならSL8。
瞬間の反応性とフランスブランドの美学に惹かれるなら795。
性能面はコースと条件次第でほぼ互角です。最終的には試乗して「身体が欲しがった方」を選ぶのが、最良のアドバイスと考えます。
- 在庫はどこで見つけられますか?
LOOK公式サイトのDealer Locator(lookcycle.com)掲載の正規販売店へ問い合わせるのが基本となります。
東京ならナルシマフレンドやワイズロード各店、大阪ならサイクルショップカンザキ吹田店が代表的な取扱店です。
在庫は流動的なので電話確認が確実です。対面販売が原則であり、ネット通販では手に入りません。
- 795 BLADE2 RSに機械式コンポは使えますか?
残念ながら使えません。電動コンポ専用設計です。
Di2、AXS、Campagnolo Wirelessのいずれかを選択せざるを得ないでしょう。785 HUEZ2は電動・機械式の両対応なので、コスト重視なら105メカニカルでの組み立ても選べます。
まとめ|「刃」を手にする覚悟はあるか

ここまで読み進めてくださった方に、感謝いたします。
LOOK 795 BLADE2 RSは、万人向けの優等生ではありません。
振動吸収性ではSL8やMadoneに譲り、エアロの絶対値ではOSTRO VAMの背中が遠く、価格面でAeroadとは残念ながら勝負になりません。
国内の流通体制も過渡期にあります。
スペックシートだけ見れば「なぜLOOKを選ぶのか」と首をかしげる人がいても不思議ではないでしょう。
それでも、このバイクには他の何ものにも代えがたい「何か」があるファンも多いことも事実です。
踏んだ瞬間のゼロタイムラグ、
意思と走りが直結するハンドリング、
サイクルラックで一目でそれとわかるシルエット。
30年この世界にいて断言しますが、数字に表れない魅力こそ最大の決定要因になり得ます。
Tarmacを選べば「正解」が手に入りますが、LOOKを選べば「物語」が始まります。
785 HUEZ2は、そのようなロードバイクなのです。
785 HUEZ2にもLOOKの哲学が息づいています。
低重心ジオメトリの恩恵で下りが安定し、「硬すぎない」乗り味がロングライドとの相性を支えてくれます。
795ほど尖っていないぶん、練習からレースまで幅広く使える懐の深さは大きな魅力です。
もしあなたが「瞬間の切れ味」に価値を見出し、独自規格のコストとメンテの手間を引き受ける覚悟があるなら——
この「フランスの刃」を乗りこなした先に、今まで見たことのない限界速度がきっと見えてくるはずです。
その覚悟がまだなら、SL8やMadoneという素晴らしい選択肢が待っています。
そして、最後にひとつだけ。
少しでも心が揺れたなら、最寄りのLOOK取扱店に足を運んでみてください。フレームに手を触れ、できれば試乗をしてみてください。
スペックシートでは伝わらない「あの感覚」は、ペダルをひと踏みすれば必ず理解できるはずです。
あなたの走りが明日から変わるかもしれない——
その予感を胸に、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考文献・引用
※本記事は以下の資料・データに基づき作成しました。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。最新の在庫状況や価格については各販売店の公式サイトまたは店頭でご確認ください。
※安全に関する注意:ロードバイクは車両です。道路交通法を遵守し、ヘルメット着用、適切な装備での走行を心がけてください。
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