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ロードバイク 30km 巡航 トレーニング

【完全ガイド】初心者でも達成できる!ロードバイク30km/h巡航マスター術

「もっと速く、楽に走りたい…」ロードバイクに乗り始めた誰もが一度は憧れる30km/h巡航。でも、いざ挑戦してみると、その壁の高さに戸惑う方も多いのではないでしょうか?この記事では、なぜ30km/h巡航が難しいのか、その原因と具体的な克服法、そして着実にステップアップするためのトレーニングプログラムまで、あなたの「もっと速くなりたい」を叶えるための秘訣を凝縮しました。さあ、一緒に30km/hの壁を突破しましょう!

この記事を読んでわかること

・ロードバイクで30km/h巡航が難しい理由と必要な基礎知識
・巡航速度が上がらない原因と効果的な改善方法
・30km/h巡航を実現するための段階的トレーニングプログラム
・ロードバイク巡航速度とカロリー消費の関係
・今日から実践できる巡航速度アップの具体的アクション

:ロードバイク初心者が30km/h巡航を目指す前に知っておくべきこと

ロードバイクを手に入れ、風を切って走る爽快感を体験すると、多くの人が次に目指すのが「巡航速度30km/h」という指標でしょう。この速度域で安定して走れるようになれば、サイクリングの行動範囲は広がり、より遠くへ、より楽に移動できるようになります。しかし、実際に挑戦すると、想像以上に難しいと感じる方も少なくありません。

ここでは、30km/h巡航を目指す上で、まず理解しておきたい基本的な知識を解説します。目標を正しく理解し、課題を明確にすることで、効果的なトレーニングへの第一歩を踏み出しましょう。

ロードバイクの巡航速度とは?平均値と30km/hの壁

まず「巡航速度」とは、信号や一時停止、急坂などの外的要因に左右されず、安定したペースで走り続けられる速度のことです。瞬間的な最高速度ではなく、持続可能なスピードと捉えましょう。

ロードバイク初心者の平均的な巡航速度は、平坦な道で20km/h〜25km/h程度が目安とされています。もちろん、ロードバイクの種類やコンポーネンツ、体力や経験、走行環境によって個人差はありますが。

その中で「30km/h巡航」は、初心者から中級者へのステップアップを示す目標と見なされがちです。25km/hから30km/hへの壁は、単なる数値以上に高く感じられます
この速度域では空気抵抗の影響が顕著になり、維持するには体力、技術、効率的なフォームが求められるためです。安定して30km/hで巡航できることは、一般サイクリストの中では十分に「速い」レベルです。焦らず、ご自身のペースでステップアップを目指しましょう。

なぜロードバイクで30km/h巡航が難しいのか?必要な身体能力

30km/h巡航が難しい主な理由は、「空気抵抗の増大」と、それを克服するための「持続的なパワー出力」が必要だからです。速度が上がるほど空気抵抗は急激に増し、速度の2乗に比例すると言われます。20km/hと30km/hでは、体感以上に大きな抵抗を受けています。

この抵抗に打ち勝ち速度を維持するには、相応のパワー(ワット)を継続的に出力する必要があります。体重65kgの人が無風平坦で30km/h巡航するには、約150W〜200W程度のパワーが必要とされます。これは日常生活では使わないレベルのパワーを、長時間維持することを意味します。

そのためには、脚筋力に加え、心肺機能(持久力)が不可欠です。単にペダルを踏むだけでなく、

①空気抵抗に負けない筋力
②それを維持する心肺能力
③効率的に力を伝える技術(フォームやペダリング)の向上

が求められます。

ロードバイクとクロスバイクの巡航速度の違いと特性比較

ロードバイクは、クロスバイクと比較して高速巡航に適した設計になっています。

ロードバイク:ドロップハンドルによる深い前傾姿勢で空気抵抗を削減。細いタイヤで転がり抵抗を低減。軽量高剛性フレームで推進効率が高い。

クロスバイク:フラットバーハンドルで姿勢は楽だが空気抵抗は大きい。やや太めのタイヤで安定性重視だが転がり抵抗は増す。頑丈だがロードバイクほどの軽量性・剛性はない。

このため、同じ人が同じ条件で走ると、ロードバイクの方がクロスバイクより3km/h〜5km/h程度速い巡航速度を出しやすいと言われます。クロスバイクの平均巡航速度は15km/h〜25km/h程度とされることが多いようです。

30km/h巡航に必要な自転車のセットアップと基本装備

目標達成には、ライダーの能力だけでなく、バイクのセッティングと装備も重要です。

1.ポジション調整体に合ったサドル高・前後位置、ハンドル位置が最重要。ペダリング効率、快適性、空気抵抗に直結します。専門家に見てもらうのがおすすめです。
2.タイヤ空気圧低いと転がり抵抗が増加し、無駄な力を使います。走行前に必ず適正空気圧に調整しましょう。
3.ビンディングペダル&
シューズ
ペダルとシューズを固定し、「引き足」を使えるようにすることでペダリング効率が向上します。
4.サイクルコンピューター速度、距離、ケイデンス(ペダル回転数)を表示。ケイデンスを意識した効率的なペダリング練習に役立ちます。
5.ウェアとヘルメットフィットするウェアは空気抵抗を減らし、快適性を保ちます。エアロ効果のあるウェアやヘルメットも有効です。ヘルメットは安全のため必須です。

これらの機材を適切に選び、正しく設定することが、30km/h巡航達成をサポートします。

ロードバイクで遅い原因と速い人から学ぶ30km/h巡航のコツ

「一生懸命漕いでいるのに、なぜかスピードが出ない」「あの人は楽そうなのに速い。自分と何が違うのだろう?」ロードバイクで30km/h巡航を目指し始めると、自分の「遅さ」の原因や、速い人との違いが気になってくるものです。 しかし心配はいりません。速度が伸び悩むのには必ず理由があり、速い人たちの走りには上達のヒントが隠されています。

ここでは、速度が出ない原因を探り、速いサイクリストから具体的なコツを学びます。原因を知り、正しい技術を身につければ、あなたの走りはきっと変わるはずです。

ロードバイクが遅い7つの原因と診断方法

スピードが出ない、すぐに疲れる原因は一つとは限りません。まずは自分の走りに潜む課題を見つけましょう。主な原因として以下の7点が考えられます。

1.非効率なライディングフォーム体に合わないポジションや、空気抵抗が大きい姿勢で走っていませんか?
2.ペダリング効率の悪さペダルを「踏む」だけで、「回す」意識が不足していませんか?(低ケイデンスで重いギアを踏みがち)
3.不適切なギア選択軽すぎるギアで回転だけ上がったり、重すぎるギアで脚を消耗したりしていませんか?
4.ペース配分の失敗最初から飛ばしすぎて後半失速したり、逆に力を温存しすぎたりしていませんか?
5.メンタル的な壁「自分は遅い」「30km/hは無理」といった思い込みが、無意識にブレーキをかけている可能性も。
6.機材トラブルや不適合ブレーキの接触、チェーンの油切れ、空気圧不足、バイクサイズが合わないなど。
7.トレーニング不足・コンディション不良根本的な体力(特に持久力や体幹)不足や、睡眠不足、疲労の蓄積はありませんか?
【簡単セルフチェック】

•   走行中に特定の箇所(腰、膝、首など)が痛くなりませんか?
•   ペダリング中、足裏以外に力みを感じますか?
•   ケイデンス(ペダル回転数)は意識していますか?(目安:80-90rpm※)
•   向かい風で極端に失速しませんか?
•   走行後、バイクから異音はしませんか?
•   可能なら、自分のフォームを横から動画撮影してみましょう。客観視は多くの気づきを与えます。

※ケイデンスの理想値は個人差がありますが、80-90rpmは効率的なペダリングの目安としてよく挙げられます。

速いサイクリストに共通する5つの特徴とテクニック

速いサイクリストは、力任せではなく効率性を追求しています。彼らの走りには共通の特徴があります。

1.無駄のないエアロフォーム:体幹が安定し、上半身はリラックスしつつ低い姿勢を維持。

2.スムーズで高ケイデンスなペダリング:力強く「踏む」より、軽やかに「回す」印象。ケイデンスは比較的高め(85rpm以上)で安定。

3.状況に応じた的確なギアチェンジ:勾配や風向きに合わせ、こまめでスムーズな変速で最適な負荷を維持。

4.安定したペースコントロール:感情や地形に左右されず、一定ペースを維持。無理な加速や急減速が少ない。

5.先読みと状況判断:路面、風、他者の動きを把握し、最適なライン取りや位置取りを瞬時に判断。

これらはすぐに身につくものではありませんが、速い人と走る機会があれば、後ろから動き(ペダリング、フォーム、変速タイミング)を観察するのが上達への近道です。プロ選手の動画なども参考になります。

効率的なペダリングフォームで巡航速度を上げる方法

ロードバイクの推進力の基本はペダリングです。初心者はペダルを「踏む」ことに集中しがちですが、速度を上げる鍵は「回す」意識です。

クランクは円運動をしており、下死点(一番下)や上死点(一番上)付近では踏んでも推進力になりにくく、力のロスが生じます。効率的なペダリングとは、このロスを減らし、円運動全体でスムーズに力を伝え続けることです。

特に意識したいのが「引き足」です。ビンディングペダル使用時、ペダル上昇時に靴を持ち上げるように意識すると、踏む足の力を助け、スムーズな回転に繋がります。足首を固めず、ペダルの角度に合わせて柔軟に使う(アンクリング)ことも効率を高めます。

理想的なケイデンスは80〜90rpmが目安。これより低いケイデンスで重いギアを踏むと、筋肉への負担が大きく疲労しやすいです。軽いギアでケイデンスを意識して回す練習を取り入れましょう。

【練習方法の例】

片足ペダリング:片足だけでスムーズに回す練習。力の抜けるポイントが分かりやすい。

高回転練習:軽いギアで、90rpm以上のケイデンスを数分間維持する。

地道な練習で効率的なペダリングを習得すれば、同じ体力でも楽に速く走れるようになります。

空気抵抗を減らす姿勢とポジショニングの秘訣

ロードバイクで速度を上げる際の最大の壁が「空気抵抗」です。速度の2乗に比例して増大し、30km/h巡航ではパワーの大半がこれに打ち勝つために使われます。空気抵抗の削減が高速巡航の鍵です。

最も効果的なのは「エアロポジション」の習得です。体を小さくまとめ、空気の当たる面積(前面投影面積)を減らすことで、同じパワーでもより速いスピードが出せます。

【エアロポジションのポイント】

前傾姿勢を深く:骨盤から前傾し、背中を地面と水平に近づける(猫背に注意)。

②腕と肩:肘を軽く曲げ、少し内側に絞る。肩はリラックス。

③頭の位置:前方の安全を確認しつつ、少し顎を引き、頭を上げすぎない。

ドロップハンドルの下部分(下ハンドル)を握ると、より深い前傾姿勢が取れます。ただし、無理な姿勢は負担が大きく逆効果です。リラックスして持続可能な範囲で低い姿勢を意識しましょう。

ロードバイクで30km/h巡航を維持するためのメンタル戦略

一定速度を維持するには、フィジカルだけでなくメンタルも重要です。単調なペース維持は、時に精神的な苦痛を伴います。

「まだ遠い」「向かい風がきつい」「足が重い」といったネガティブ思考は集中力を削ぎ、パフォーマンスを低下させます。特に単独走では陥りやすいです。ポジティブな思考と集中力を維持するメンタル戦略が役立ちます。

【メンタル戦略の例】

明確な短期目標:「次の信号まで」など、短い区間での目標達成を繰り返す。

数値への集中:サイコンの速度やケイデンス表示に集中し、目標値維持をゲーム感覚で楽しむ。

ポジティブ・セルフトーク:「いいペース」「できる」と心で自分を励ます。

ご褒美設定:「ここまで頑張ったら休憩」など楽しみを作る。

音楽の活用:気分を高揚させる(ただし周囲の音には十分注意)。

仲間とのライド:励まし合い、時に競い合うことで苦しさを紛らわす。

「きつい」と感じた時こそ、意識的に思考をコントロールし、前向きな気持ちでペダルを回し続けることが、30km/h巡航達成・維持のための重要なテクニックです。

ロードバイク30km/h巡航を実現する段階的トレーニングプログラム

30km/h巡航の壁を越えるには、具体的な行動、すなわちトレーニングが必要です。しかし、ただ闇雲に走るだけでは非効率的で、怪我のリスクも伴います。「どうすれば効果的に速くなれる?」「どんな練習がいい?」そんな疑問に答えるため、初心者から着実にステップアップし、30km/h巡航を実現するための段階的なトレーニングプログラムを提案します。

焦らず段階を踏むことが、目標達成への一番の近道です。計画的にトレーニングを進め、ロードバイクライフを次のステージへ進めましょう。

ロードバイク初心者から30km/h巡航へのロードマップ

kira

これから、トレーニング方法について詳しく解説しますが、一番重要なことは「モチベーションを維持すること」です。そのためにも、【トレーニング日誌】を必ず記録してください。
自分がどの段階にいるのか、どのレベルまで来たのかということが一目で評価可能です。また、過去のトレーニング日誌を読むことで「振り返り」に気づくことも少なくありません。

STEP1
基礎体力養成期(目安:〜3ヶ月)

目標:ロードバイクに慣れ、楽に走り続けられる基礎を作る(20〜25km/h程度での安定走行)。
内容:週1〜2回、1時間〜1.5時間程度のライド。ペースは気にせず、会話ができる強度(LSD:LongSlowDistance)で楽しむ。正しいフォームやスムーズなペダリングを意識。
LSDは脂肪燃焼効率を高め、毛細血管を発達させる基礎的な有酸素運動能力向上の効果があります。

STEP2
巡航速度向上期(目安:3ヶ月〜6ヶ月)

目標:少しずつペースを上げ、25〜28km/hでの巡航時間を延ばす。持久力とパワーの基礎を強化
内容:週2〜3回のライド。LSDに加え、週1回程度、少し息が弾む「ややきつい」ペース(テンポ走)を15〜20分維持する練習や、短い坂道ダッシュを取り入れる。テンポ走はLSDより強度が高く、筋持久力や乳酸除去能力の向上に効果的です。

STEP3
維持・応用期(目安:6ヶ月〜1年)

目標:30km/h巡航の達成と安定化。様々な状況に対応できる総合的な走力を習得
内容:週3回程度のライド。LSD、テンポ走に加え、より強度の高いインターバルトレーニング(後述)や坂道反復練習(ヒルクライム)を計画的に導入。グループライドへの参加も有効。

STEP4
30km/h安定・その先へ(目安:1年〜)

目標:30km/h巡航を余裕で維持。100km超のロングライド完走や、35km/h、40km/hなど更なる速度域を目指す。
内容:これまでのトレーニングを継続・発展させ、弱点強化や目標に合わせたメニューを組む。

自分のレベルに合わせ、焦らず段階的に進むことがモチベーション維持と成長の鍵です。

kira

専門用語の解説

LSD(LongSlowDistance)
長い時間・距離をイーブンペースより、ゆっくりのペースでライドすることを指します。
全身の毛細血管が発達し、多くの酸素を筋肉に供給ことができるためのトレーニングです。全身持久力の基本となるトレーニングです。

巡航速度を上げるための週間トレーニングプラン(レベル別)

ロードマップに基づき、継続可能な週間プランを立てましょう。レベル別のプラン例を紹介します

【初心者(段階1〜2)】

平日:
可能なら自転車通勤。または週1回、30分〜1時間の短時間ライド(フォーム確認、高回転練習など)。
週末:
週1回、1.5時間〜2時間のLSD。段階2では、週末ライドや平日ライドで10〜15分のテンポ走を取り入れる。
休息:
最低週2〜3日は完全休養

【中級者(段階3)】

平日:
週1回、インターバルトレーニング。週1回、1時間程度のテンポ走or坂道反復練習。可能なら自転車通勤や回復走。
週末:
週1回、2時間〜3時間のLSD、または目標に合わせた距離のライド。時にグループライドに参加。
休息:
週1〜2日は完全休養。疲労を感じたら無理せず休む。

ロードバイクの巡航能力を高めるインターバルトレーニング5選

巡航速度向上に効果的なのがインターバルトレーニングです。高強度運動と低強度回復を繰り返し、短時間で心肺機能やパワーを高めます。負荷が高いため、ウォーミングアップ・クールダウンは必須。
安全な場所で週1〜2回を目安に行いましょう。レベルに合わせ強度やセット数を調整し、無理なく継続しましょう。

※インターバルトレーニングは、スピードも速く高心拍数により、注意散漫になるため道路で行うのは非常に危険です。そこで今回は、実車ライドで可能なケースとローラー台を使用したケースに分類しました。

kira

インターバルトレーニングには必須ツールがあります。
トレーニングを可視化し評価するには、下記のツールが絶対必要になります。

スポーツウォッチ(ランニング用で可)
心拍計(なるべく正確に計測できるもの)
 ※胸部に装着できるタイプをお勧めします。
サイクルコンピュータ(ケイデンスが計測できるタイプ)

ライドで可能なインターバルトレーニング

坂道インターバル:
1〜3分で登れる坂を全力に近い強度で登る。下りは回復。5〜8セット。登坂力とパワー向上。

今回は、東京近郊で有名な坂道コースを紹介しますが、各地域にライダーに愛されている坂道コースがあります。Web検索・バイクショップやライダー仲間からの口コミなどで探してみてしてください。

風張峠(東京都西多摩郡檜原村)
  • 東京で一番標高が高い峠(1146m)で、檜原街道から奥多摩周遊道路を使う定番ルートがあります。
  • 裏ルートは激坂として有名で、プロ選手も「激坂すぎてトレーニングにならない」と言うほどの難所です。ヒルクライムの本格的な練習に最適です。
尾根幹(東京都稲城市~東京都町田市)
  • 通称「尾根幹」は多摩丘陵を走る全長約14.5kmのコースで、アップダウンが連続し、信号間隔も広く練習に最適です。
  • 「バーミヤン坂」など5~7%の斜度がある坂も含まれ、周回コースやインターバルトレーニングにも向いています。
和田峠(東京都八王子市)
  • 東京都八王子市にある和田峠は、距離3.6km・平均勾配7.0%と短いながらも斜度がきつく、ヒルクライム練習の聖地です。

ローラー台を使ったインターバルトレーニング

タバタ式アレンジ:
20秒全力+10秒休息×8セット(計4分)。短時間高強度。

VO2maxインターバル:
3分間「かなりきつい」強度(最大心拍数90%以上目安)+3分回復×4〜5セット。最大酸素摂取量向上。

SST(SweetSpotTraining):
FTP(※)の88〜94%程度「ややきついが維持できる」強度で10〜20分走る。5〜10分回復×2〜3セット。FTP向上、持久力とパワーの底上げに効果大。
※FTP:1時間持続可能な最大パワー。パワーメーターが理想だが、心拍計や自覚強度でも代替可。

テンポインターバル:
FTPの76〜90%程度(SSTより少し楽)で8〜10分走る+5分回復×3〜4セット。長時間の巡航能力向上。

kira

SST(SweetSpotTraining)について解説します。

Sweet Spot Training(スイートスポットトレーニング、SST)は、ロードバイクのパワートレーニングで非常に人気のある手法です。SSTは「FTP(Functional Threshold Power:機能的作業閾値)」の約88~94%の強度で行うトレーニングで、「きついけれど長時間維持できる」絶妙な強度が特徴です。

この強度帯は、乳酸が急激に蓄積しないため比較的長く続けることができ、効率よく持久力やパフォーマンス向上を目指せます。強度とボリューム(時間や距離)の両方をバランス良く鍛えられるため、時間対効果が高いトレーニングとして評価されています。

※トレーニング中の心拍数については下記に詳しく書いてあるので、よろしければ読んでみてください。
ロードバイク初心者必見!70km完走ガイド【準備・トレーニング・しまなみ海道ルートも解説】

30km超の長距離巡航のためのエネルギー補給戦略

30km/h巡航を長く維持するには、エネルギー切れ(ハンガーノック)対策が不可欠です。体内の糖質(グリコーゲン)貯蔵量には限りがあり、走行中に補給しないと枯渇し、パフォーマンスが急低下します。

ハンガーノックは回復に時間がかかります。「まだ大丈夫」と思わず、早めの補給を心がけることが長距離安定走行の秘訣です。

走行前:スタート1〜2時間前に消化の良い炭水化物(おにぎり、バナナ等)を摂取。

走行中(糖質):1時間あたり30〜60gを目安に、30分〜1時間ごとにこまめに補給。エネルギージェル、エナジーバー、羊かん等が携帯しやすく吸収も良い。

走行中(水分):喉が渇く前に、15〜20分ごとに一口か二口、こまめに水分補給。夏場や高強度では電解質入りスポーツドリンク推奨。

kira

特に気温が高くなる時期に注意しなければならないのが、水分摂取
のどが渇いたと感じたら、すでに初期の脱水症状になっていると言っても過言ではありません。
のどの渇きの有無より、一定時間ごとに水分はとるようにしましょう。

ロードバイクトレーニングの効果を最大化する回復とコンディショニング

「トレーニングしても速くならない…」と感じる場合、「回復」プロセスを見直しましょう。筋肉はトレーニングで損傷し、回復過程で強くなります(超回復)。適切な回復なくして成長はありません。回復を怠ると疲労が蓄積し、トレーニングの質低下、オーバートレーニングや怪我のリスクが高まります。「休むこともトレーニング」です。

•クールダウントレーニング直後、5〜10分軽い負荷でペダルを回し心拍数を落ち着かせる。
•ストレッチライド後、太もも、ふくらはぎ、お尻、腰などを中心に静的ストレッチ。
・栄養補給トレーニング後にタンパク質(筋肉修復)と糖質(エネルギー再補充)を摂取。プロテイン等が有効です。
•睡眠成長ホルモンが分泌される重要な回復時間。質の高い睡眠を7〜8時間確保。
•積極的休養
(アクティブレスト)
完全休養だけでなく、軽いジョギングやウォーキング等の低強度運動も血行を促進し回復に繋がる

日々のコンディショニングで常に良い状態でトレーニングに臨むことが、着実なレベルアップに繋がります。

ロードバイク巡航速度とカロリー消費の関係

ロードバイクに乗る目的が「健康維持」や「ダイエット」である方も多いでしょう。サイクリングは楽しみながら効果的にカロリーを消費できる運動であり、その消費量は「巡航速度」と密接に関係しています。

このセクションでは、巡航速度がカロリー消費にどう影響するのか、そのメカニズムと効率的な消費のための乗り方を解説します。「頑張った分、どれくらい消費できた?」「効率よく痩せるには?」といった疑問に、具体的な数値やメカニズムを交えて答えます。

ロードバイクで30km走行時の速度別カロリー消費量比較

「同じ30kmを走るなら、速い方がカロリー消費は多い?少ない?」という疑問について。一般的には、同じ距離を走る場合、巡航速度が速い方が消費カロリーは多くなる傾向にあります。

理由は、速度が上がると空気抵抗が急激に増大し、それに打ち勝つためにより多くのパワー(=エネルギー)が必要になるためです。走行時間は短縮されますが、それ以上に単位時間あたりのエネルギー消費量が増えるため、結果的に消費カロリーが多くなりやすいのです。

ただし、消費カロリーは体重、性別、年齢、筋肉量、使用機材、服装、地形(登り坂は大幅増)、天候(向かい風は大幅増)など非常に多くの要因に左右されます。以下はあくまで体重65kgの成人男性が平坦路を30km走行した場合の推定値であり、参考程度にご覧ください。

ペース走行時間推定消費カロリー
ゆっくりペース(平均20km/h)90分約500〜600kcal
やや速いペース(平均25km/h)72分約650〜750kcal
目標ペース(平均30km/h)60分約800〜950kcal

これらの数値は様々な計算方法や実測データがありますが、大きく異なる場合もあります。正確な値を知るには、心拍計やパワーメーター付きサイクルコンピューターの使用が最も信頼できます。とはいえ、「速く走るほど、同じ距離でもより多くのカロリーを消費する傾向がある」ことは、目標設定やモチベーション維持の参考になります。

ロードバイクの巡航速度がカロリー消費に与える影響とメカニズム

ロードバイクでのカロリー消費量は、速度だけでなく、様々な物理的・生理的要因が絡み合って決まります。主に以下の4つの「抵抗」に打ち勝つためにエネルギーを消費します。

1.空気抵抗速度の2乗に比例して増大し、特に25km/h超から影響大。30km/h巡航ではパワーの大半がこれに使われる。エアロフォームで削減可能。
2.転がり抵抗タイヤと路面の抵抗。タイヤの種類、空気圧、路面状態で変化。
3.勾配抵抗坂道を登る際の重力による抵抗。登りでは主要な抵抗となる。
4.加速抵抗スピード変化や発進時に必要なエネルギー。

これらの抵抗に打ち勝つパワーと運動時間によって消費カロリーが決まります。さらにライダー自身の要因も重要です。

体重重いほど消費カロリーは多い(特に登坂時)。
心拍数・パワー出力運動強度を示す指標。高いほど単位時間あたりの消費カロリーは多い。
基礎代謝・筋肉量個人の身体組成も影響。

このように、消費カロリーは単純な「速度×時間」ではなく、走行環境や自身の状態を総合的に考慮する必要があります。心拍計やパワーメーターは、これらの要因を反映した運動強度・消費カロリー管理に役立ちます。

効率的なカロリー消費のためのロードバイク乗車方法

ダイエットや健康増進が目的なら、「総消費カロリー」だけでなく、「どのエネルギー源(糖質or脂質)を主に使うか」、つまり「脂肪燃焼効率」も重要です。運動強度や時間によって、効率的なカロリー消費の仕方が変わります。

体はエネルギー源として主に「糖質」と「脂質(脂肪)」を使います。どちらが優先されるかは運動強度で変化します。

低〜中強度(有酸素運動)

比較的楽なペース(最大心拍数の60〜70%程度、心拍ゾーン2〜3、「やや楽」〜「ややきつい」と感じる程度)。脂質がエネルギー源として使われる割合が高く、脂肪燃焼に効果的です。

高強度(無酸素運動に近い)

きついペースやインターバルトレーニング。糖質が優先的に使われ、脂質の利用割合は減りますが、単位時間あたりの総消費カロリーは非常に高くなります。

これを踏まえ、目的に合わせた効率的な乗り方を選びましょう。

1.脂肪燃焼優先:LSD(LongSlowDistance)

乗り方:会話ができる楽なペース(心拍ゾーン2〜3)で1時間以上(できれば1.5〜2時間)継続

特徴:脂肪燃焼効率が高い。体への負担が少なく長時間続けやすい。基礎持久力も向上。

2.短時間で高カロリー消費&代謝アップ:インターバル/HIIT

乗り方:高強度運動と短い休息を繰り返す。

特徴:運動中の消費カロリーが高い。運動後も代謝が高い状態が続く「アフターバーン効果(EPOC:運動後過剰酸素消費量)」が期待でき、基礎代謝向上にも繋がる可能性。

注意:体への負担大。週1〜2回程度にし、十分な回復期間を。ウォーミングアップ・クールダウン必須。

3.バランス良く体力向上&カロリー消費:テンポ走/SST

乗り方:「ややきつい」と感じるペース(心拍ゾーン3〜4、FTPの76〜94%程度)で20分〜1時間程度維持。

特徴:脂肪と糖質をバランス良く利用。巡航速度向上とカロリー消費を両立。

どの乗り方が絶対的に良いわけではありません。目的(ダイエット、体力向上、速さ追求)、体調、時間に合わせて組み合わせるのが賢明です。心拍計で運動強度を管理すると、より効率的なトレーニングが可能です。

よくある質問

ロードバイクの30km/h巡航に関して、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。これまでの内容の復習にもなりますので、ぜひ参考にしてください。

ロードバイクで30km走るのに何分かかりますか?

平均巡航速度によって大きく異なります。単純計算では、平均30km/hなら60分、平均25km/hなら72分、平均20km/hなら90分が目安となります。ただし、これは信号待ちや坂道、休憩時間を含まない理論上の時間です。実際のサイクリングでは、特に市街地走行やアップダウンのあるコースでは、これよりも時間がかかることが一般的です。走り慣れてくれば、よりスムーズなペース配分やルート選択で所要時間を短縮できるようになるでしょう。

ロードバイクで30km走るとどのくらいカロリー消費しますか?

これも走行速度や体重、コースプロフィール、風向きなど多くの要因で変動しますが、体重65kgの方が平坦路を走った場合、平均25km/hで約650〜750kcal、平均30km/hで約800〜950kcal程度が一つの目安です。本文でも触れた通り、登り坂や強い向かい風の中では消費カロリーはさらに増加します。より正確な消費カロリーを知りたい場合は、心拍計やパワーメーター機能付きのサイクルコンピューターの活用をおすすめします。消費カロリーは運動強度と時間の掛け合わせなので、速度だけでなく、どれくらいの時間、どれくらいの強度で走ったかも考慮に入れましょう。

クロスバイクの平均巡航速度は?

クロスバイクの平均的な巡航速度は、一般的に15km/h〜25km/h程度と言われています。ロードバイクと比較すると、アップライトな乗車姿勢による空気抵抗の増加や、やや太めのタイヤによる転がり抵抗などが影響するため、同じ人が同じ力で漕いだ場合、ロードバイクよりも巡航速度は低くなる傾向があります。もちろん、乗り手の体力やトレーニング次第ではクロスバイクでも30km/h近い速度で巡航することも可能です。街乗りやフィットネス目的であれば十分快適な速度域ですが、より楽に高速巡航を楽しみたいのであれば、ロードバイクの方が適していると言えます。

ロードバイクで速く走るコツは?

速く、そして楽に走るためのコツは、主に「①効率的なフォーム」「②スムーズなペダリング」「③適切なギア選択」「④計画的なトレーニング」の4つに集約されます。
まず、空気抵抗を最小限に抑えるエアロフォームを身につけること。次に、ペダルを力任せに「踏む」のではなく、円を描くようにスムーズに「回す」ペダリングを習得すること。そして、勾配や風向き、自身の疲労度に合わせて、常に最適なケイデンス(ペダル回転数、80〜90rpmが目安)を維持できるようにこまめにギアを変えること。最後に、これらを支えるための基礎体力やパワーを、継続的なトレーニングによって向上させることが不可欠です。本記事で紹介したテクニックを一つずつ実践してみてください。

効果的なトレーニング頻度はどのくらい?

目指すレベルや確保できる時間によって最適な頻度は異なりますが、初心者の方であれば週1〜2回、30km/h巡航を目指すような中級レベルであれば週3回程度が一つの目安となるでしょう。重要なのは、頻度や走行距離といった「量」だけでなく、「質」とのバランス、そして「継続」することです。ゆっくり長く走るLSD(基礎体力向上)と、短時間で負荷をかけるインターバルトレーニング(心肺機能・パワー向上)などを組み合わせ、さらにトレーニング効果を高めるための十分な「休息」を取り入れることが効果的です。無理のない計画を立て、楽しみながら続けることを最優先にしましょう。

巡航速度を維持するためのギア選びのコツは?

巡航速度を楽に維持するためのギア選びのコツは、「自分が最も効率よく力を出し続けられるケイデンス(ペダル回転数)を維持できるギアを選ぶ」ことです。一般的に、毎分80〜90回転(rpm)が効率的と言われています。ギアが重すぎると、ケイデンスが落ちてしまい、脚の筋肉に過度な負担がかかりすぐに疲れてしまいます。逆に軽すぎると、ケイデンスばかり上がってしまい、心拍数が上がりやすく、無駄に体力を消耗してしまいます。登り坂や向かい風などで負荷が増えたら早めに軽いギアへ、下り坂や追い風で負荷が減ったら重いギアへと、こまめにシフトチェンジを行い、ケイデンスを一定に保つことを意識しましょう。サイクルコンピューターでケイデンスを確認しながら走ると、自分にとって最適なギアを見つけやすくなります。

※ギアチェンジについては下記に詳しく書いてあるので、よろしければ読んでみてください。
【初心者必見】ロードバイクのギアチェンジ完全ガイド!乗りこなし術とトラブル解決

まとめ:ロードバイク30km/h巡航への道のり

ロードバイクでの30km/h巡航は、多くのサイクリストにとって魅力的な目標です。決して簡単な道のりではありませんが、この記事で解説したように、正しい知識と段階的なアプローチがあれば、必ず達成可能です。
自身の弱点を分析し、効率的なフォームとペダリングを習得すること。そして、計画的なトレーニングと適切なセッティング、さらにはポジティブなメンタルと十分な回復を心がけること。これらが揃えば、着実に目標へと近づけます。焦らず、諦めずに、今日からできることから始めてみましょう。あなたの挑戦を応援しています!

今日からできるロードバイク巡航速度アップのためのアクション

知識を行動に移すことが本当に大切です。実際に体を動かし試すことで走りは変わり始めます。難しく考えず、次のライドから試せる簡単なことから始めましょう。小さな一歩が大きな変化を生みます。

【今日からできるアクションリスト】

現状を知るサイクルコンピューターで平均巡航速度を計測。
フォームを意識少しだけ前傾姿勢を深く(骨盤から)。
ペダリング意識改革「円を描くように回す」感覚を意識。
基本の整備ライド前にタイヤ空気圧を適正値に。
ケイデンスを測る可能なら80-90rpmを数分維持してみる。
客観的に見るフォームを動画撮影してもらう。
少しだけ挑戦いつものライドで距離を少し延ばす、短い坂に挑戦。

これらはすぐ試せることばかり。一つでも「やってみる」積み重ねが、あなたの走りを確実に変え、30km/h巡航への確実な近道となります。さあ、ヘルメットをかぶり、シューズを締め、新たな一歩を踏み出しましょう!