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ロードバイク ダイエット 補給食 タイミング

【爆食い防ぐ】ロードバイクダイエットの補給食タイミング3ステップ

この記事を読んでわかること
  • 「補給しないほうが痩せる」が科学的に誤りである理由と、ハンガーノックがドカ食いを誘発する生理学的メカニズム
  • 走行時間別(30分・50km・100km)に必要な糖質量の目安と、その計算の考え方
  • ライド前・ライド中・ライド後、各フェーズで何をどれだけ摂るべきかの実践プラン
  • コンビニで手に入る低脂質・高炭水化物の補給食ランキングと、選んではいけないNGフードの見分け方
  • エナジージェルとようかんの栄養比較、コスパ分析、使い分けのポイント
  • 帰宅後の「爆食い」を防ぐリカバリー食の黄金比率(糖質3:タンパク質1)と運動直後の摂取がカギになる理由
  • 血糖値の急変動を避ける「ちょこちょこ食べ」戦略とCCDドリンクの自作レシピ

はじめに

ロードバイクで3時間。サイクルコンピュータに映し出された消費カロリーは1,500kcal——

よし、今日はしっかり走ったぞ。そんな達成感を胸に帰路につく。
ところが、玄関のドアを開けた途端に歯止めが利かなくなる。

冷蔵庫の前でガサガサと袋を漁り、カップ麺にポテトチップ、菓子パン。気づけばテーブルの上は空き容器の山。

翌朝、恐る恐る体重計に乗ってみれば、数字は減るどころかじわりと増えている。

「走ったのに痩せない」という嘆きは、私が30年以上ロードバイクに乗ってきた中で、何百回と耳にしてきた声でもあります。
そして白状すれば、かつての自分もまったく同じ失敗を重ねていました。

40代に入り基礎代謝が落ち始めた頃、「食べずに走れば体脂肪は削れるはずだ」と信じ込んで、補給なしのロングライドを繰り返したものです。
結末はいつも決まって帰宅後のバク食い。体脂肪率はびくとも動きませんでした。

結論を先に言ってしまいましょう。

ロードバイクで痩せたいなら、「走りながら食べる」ことが不可欠です。
矛盾に聞こえるかもしれません。けれど運動生理学の世界では、これはもはや定説になっています。

なぜ適切な補給が脂肪燃焼を助けるのか、何を・いつ・どの程度摂ればいいのか——
科学的な根拠と、コンビニで買える具体的な商品名まで落とし込みながらお伝えしていきます。

もくじ

恐怖のハンガーノック——「食べない=痩せる」が大間違いな生理学的理由

体内のエネルギー備蓄には「天井」がある

ダイエット目的でロードバイクに乗る方の中に、「走行中に何か口にしたら、せっかくのカロリー消費が帳消しになるのでは?」と心配する人は少なくないでしょう。

その気持ちは痛いほどわかります。でも、人体が蓄えておけるエネルギー量には明確な上限があるのです。

すぐに使える糖質は「グリコーゲン」として筋肉と肝臓に蓄えられています。
おおむね筋肉内に
約300〜400g(約1,200〜1,600kcal相当)、
肝臓内に約80〜100g(約320〜400kcal相当)
合計するとおよそ1,500〜2,000kcal分ほど(福岡県医師会, 2023; 味の素株式会社, n.d.)。

ただし、この貯蔵量は日頃の食事内容や筋肉量、トレーニング歴で個人差が大きい点には留意してください。

体重70kgの男性がロードバイクで中強度(時速25km前後)のライドを行った場合の消費カロリーを、METs(代謝当量)で見積もってみましょう。

自転車で時速25km程度のサイクリングはおよそ8METs。
算出方法は「体重(kg) × METs × 時間(h)」なので、70 × 8 × 1 = 560kcal/時が概算値になります。

実測のパワーメーター値ではもう少し低く400〜450kcal/h程度になることもありますが、いずれにしても3〜4時間でグリコーゲンの貯蔵はかなり目減りする計算です。

ここで見落としがちなのが、筋肉のグリコーゲンは「その筋肉の中でしか使えない」という生理学的事実なのです!

血糖値を維持するために血液中に放出されるのは、肝臓のグリコーゲンだけ。
その備蓄はわずか320〜400kcal程度しかありません。
脳や全身へ配れるエネルギーの「手持ち」は、想像よりずっと少ないわけです。

「脂肪は糖の炎の中で燃える」——この格言の真意

「糖質が切れたら脂肪がどんどん燃えてくれるんじゃないの?」と疑問に思う方は多いでしょう。実のところ、この認識は半分だけ正しく、残り半分は誤解を含んでいます。

脂肪をエネルギーに変えるには、ミトコンドリア内の「クエン酸回路(TCA回路)」と呼ばれるメカニズムを回す必要があります。

この回路のスムーズな稼働には、糖質が分解されてできる「オキサロ酢酸」という物質が欠かせません。いわば、脂肪という大きな薪を燃やすための「種火」が糖質なのです。

とはいえ、糖質が不足すると脂肪がまったく燃えなくなるわけではありません。
体内の糖質が大きく減少すると、肝臓で「ケトン体」が産生され、これが脳や筋肉の代替燃料として働きます。

ただしロードバイクのような持久運動中に、TCA回路にオキサロ酢酸が十分に供給されない状態が続くと、脂肪酸化の効率は明らかに低下します(CTS, n.d.)。
つまり「脂肪がゼロになる」のではなく、「燃焼のペースが大幅に鈍る」という表現が正確でしょう。

補給を怠れば、脂肪燃焼のエンジンもスローダウンしてしまう。これが「食べないほうが痩せる」が生理学的に成り立たない最大の根拠です。

ハンガーノックは「根性不足」ではなく「脳の防衛反応」

血糖値が正常域(おおよそ70〜100mg/dL)を下回り、70mg/dL未満の低血糖域に入ると、脳は危機を察知して身体に強いブレーキをかけ始めます。

ふらつき、冷や汗、手のふるえ、視野の狭まり、集中力の低下——
こうした兆候がハンガーノック(運動誘発性低血糖)の初期シグナルです。

なお、症状の出方や重症化の閾値には個人差があり、70mg/dLという数値はあくまで注意域の目安として捉えてください。

「脳のエネルギー源は糖質だけ」という説を見かけることもありますが、これはやや正確さに欠けます。

飢餓状態や極端な糖質制限時には、脂肪から生成されるケトン体も脳の重要な代替燃料になりうるという研究発表も発表されています(国立精神・神経医療研究センター; 日本生化学会)。

それでもロードバイクのような高強度の有酸素運動では、ケトン体の生成速度がエネルギー消費に追いつかないのが現実です。
やはり即効性のある燃料として、糖質は手放せません

つまりハンガーノックの回避に補給が欠かせない理由は、科学的に明白です。
空腹を我慢して走り続ける行為は、脂肪燃焼を速めるどころか、代謝全体の歯車を止めてしまう行為にほかなりません。

帰宅後の「爆食い」は意志の弱さじゃない——ホルモンが仕掛けるドカ食いの罠

コルチゾールという「ストレスホルモン」の連鎖反応

走行中の補給を怠って低血糖が長く続くと、身体は「生存の危機」と判断します。
すると、視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)が活性化し、ストレスホルモンの代表格「コルチゾール」が大量に放出されるます(NIH PMC, 2014)。

厄介なのは、コルチゾールが三つの作用を同時に発動させる点です。

第一の作用「糖新生の促進」
筋肉のタンパク質を分解してグルコースを作り出す反応で、これが基礎代謝の低下につながります。

第二の作用「食欲の増幅」
とりわけ高脂肪・高糖質の食べ物
ラーメン、菓子パン、ピザといった「コンフォートフード」への渇望がぐんと高まるのです。

第三の作用「脂肪蓄積への傾き」
慢性的にコルチゾールが高い状態では、摂取した栄養が腹部の内臓脂肪として溜まりやすくなるとされています。

ただし一つ補足しておくと、運動で一時的にコルチゾールが上がること自体は正常な生理反応でもあります。

問題なのは、補給不足による低血糖がこのホルモンを「慢性的に」押し上げてしまうケースです。食欲が暴走し、食べたものは脂肪になりやすく、筋肉は削られて代謝が落ちる

補給を抜いた後の大食いは、まさに「太る方程式」の完成形ともいえるでしょう。

グレリンの急反発とレプチンの「声が届かない」問題

通常、運動直後には食欲抑制ホルモンが優位に働くとされています。

ところがエネルギーが極端に枯渇した状態では、食欲を高めるホルモン「グレリン」が運動後に急激に跳ね返ります。

一方、満腹を知らせるホルモンである「レプチン」のシグナルは、脳に遮られて機能しにくくなる——

結果として何が起こるか。

胃が物理的にいっぱいになっても、脳が「まだ足りない」と訴え続ける訳です。
冷蔵庫の前を何度も往復しながら、手が止まらない。これは意志の弱さではなく、ホルモンに支配された生存本能の暴走だと言っていいでしょう。

こうした話を聞くと、「じゃあ、走っている最中に何をどれだけ口にすればいいの?」という疑問が湧いてくるはず。

次の章から、いよいよ具体的な補給の組み立て方について説明していきましょう

焦りと無縁になる走行時間別・科学的補給プラン——何を・いつ・どれだけ食べるか

補給量を決める大原則——走行時間と強度がものさし

適切な補給量は「どのくらいの時間、どの程度の強度で走るか」によって変わります。
ダイエット目的であれば、脂肪が効率よく使われるゾーン2(最大心拍数の60〜70%、おしゃべりができるくらいの負荷)を基準にするのが現実的でしょう。

科学的な文献をベースに、走行時間別の糖質摂取目安をまとめました(USA Cycling, n.d.; CTS, n.d.)。

走行時間推奨糖質量(g/時間)具体的な補給イメージ生理学的な裏づけ
60分未満(約30km以下)0g(水分のみ)ボトル1本の水 or 電解質ドリンク体内グリコーゲンで十分まかなえる
60〜90分(約30〜50km)30g/時間程度スポーツドリンク+バナナ半分ほどグリコーゲン低下の予防的措置
90分〜3時間(約50〜100km)40〜60g/時間おにぎり1個 or ようかん約1.5本+スポーツドリンク脂肪燃焼の「種火」維持、コルチゾール上昇の抑制
3時間以上(100km超)60〜90g/時間固形食+ジェル+スポーツドリンクの組み合わせハンガーノックと筋分解の回避

ダイエットライダーにとっての最適ラインは、1時間あたり40〜60gの糖質です。この範囲であれば、脂肪燃焼を妨げるほどのインスリン急上昇は起こりにくいと考えられます。

なぜなら、運動中はアドレナリンなどの働きで、インスリン分泌が自然に抑えられます。さらに、筋肉への糖の取り込みが盛んになるため、「摂った分がそのまま脂肪に変わる」心配はほぼ不要だからなのです(Gatorade Sports Science Institute, n.d.)。

「30kmでも補給はいる?」——短距離ライドの判断基準

30km程度のライドでも補給は必要なの?」という質問は、本当によく聞かれます。

時速25kmなら約70分、時速20kmでも約90分。この「60〜90分」という時間帯は、体内のグリコーゲンが目に見えて減り始めるゾーンにちょうど重なります。

低強度で走るなら、水分だけで事足りるケースがほとんどでしょう。
ただし朝食を抜いて出発した場合や、前夜の食事が少なかった日は話が変わってきます。

空腹時間が長引くほど肝臓のグリコーゲンは目減りしますから、朝練で何も口にせず1時間以上走れば、たとえ30kmでもハンガーノックの兆候が出てもおかしくありません

「保険」として、バナナ1本かエナジージェル1つをバックポケットに忍ばせておく
使わずに帰れたら大成功!と良い方に考えてください。
「持ってくればよかった」と後悔するほうが、はるかにダメージが大きいのです。

50km・100kmのライド別補給スケジュール

もう少し具体的な距離で見ていきましょう。

50kmライド(所要2〜2.5時間)の場合

出発の2〜3時間前に消化のよい朝食(おにぎり1〜2個、300〜400kcal程度)を済ませておけば、最初の60〜90分は水分補給だけで走れます。

1時間を過ぎたあたりで、スポーツようかん1本(約116kcal、糖質約26g)を口にするとよいでしょう。
残り30分を切ったら追加は不要で、帰宅後のリカバリー食にバトンを渡しましょう。

100kmライド(所要4〜5時間)の場合

こちらは本格的な「燃料補給計画」が必要です。

  • スタート〜1時間
    水分補給が中心。電解質入りドリンクが望ましい。
  • スタートから1〜2時間
    胃腸が元気なうちに固形物を摂っておきましょう。
    おにぎり1個(糖質約35〜40g)+スポーツようかん半分程度で、1時間あたり40〜60gの目標に近づけられます。
  • スタートから2〜3時間目
    消化のしやすさを重視して、スポーツようかん1本+スポーツドリンク追加しましょう。
  • スタートから3時間以降
    疲労で消化能力が落ちてくるため、ジェルやゼリー飲料へ切り替えます。

この計画に沿うと、走行中の総摂取カロリーはおよそ600〜800kcalになります。
100kmライドの消費が2,000〜2,500kcal前後と仮定すれば、消費の30〜40%を「先取り」で補う計算になります。

血糖値の急上昇を回避する「ちょこちょこ食べ」

1時間分の糖質をまとめて一気に摂るのは避けたいところ。
空腹時に大量の糖質を詰め込むと血糖値が急騰し、その反動でインスリンが過剰に出て急激な低血糖を招くリスクがあるためです。

おすすめは「15〜20分おきに少量ずつ」の分割摂取方法です。
たとえば1時間あたり40gの糖質が目標なら、スポーツようかん約1.5本分(糖質約39g)を20分ごとに3分の1ずつ口に運ぶイメージです。

この方法なら血糖値をなだらかに保ちやすく、安定したパフォーマンスと脂肪燃焼の両立が可能になります。

また、水分補給もセットで考えましょう。
日本陸上競技連盟(JAAF)のガイドラインでは、運動中は15〜20分ごとに水分を摂ることが推奨されています。

一度に大量を流し込んでも胃が追いつかず、タプタプと揺れるだけです。
補給食と同じく、「少量をこまめに」が基本原則です。

目安としては1回あたり150〜250ml程度を、自分の体調や気温に合わせて調整するとよいでしょう。

kira

アドバイス:運動中の血液の流れ方に注意!

安静時と運動中では、筋肉や胃に還流する血液量の違いがあります。

安静中:全身にまんべんなく血液が送られます。
運動中:大きな筋肉に酸素を供給しなくてはならないため、血液が筋肉に多く流れます。

この影響で、胃には最低限の血液しか流れてきません

安静時と異なり、運動中に食欲が下がる経験はありませんか?
逆に、食後すぐの状態や食べた食物が胃に残ってた状態で運動すると、逆に胃が痛くなったり、ムカムカしたりすることは、経験的に感じていませんか?

血液は、運動中は筋肉に、食事の後は消化器(胃など)に集まるメカニズムがあるからこのようなことが起きるのです。

補給食バトル!ようかん vs ジェル vs コンビニ食品——コスパと栄養の徹底比較

コンビニは「世界最強のエイドステーション」

日本のコンビニエンスストアは、ライダーにとって世界に誇れる補給拠点です。

高価なスポーツ専用食品をわざわざ取り寄せなくても、棚に並んでいる商品の中に、欧米のスポーツ栄養食にも引けを取らない逸材が転がっています。その筆頭格が和菓子です。

そこで、主要コンビニで手に入る補給食候補の栄養成分を比べてみました。
(※数値は2025年2月時点の公式情報・パッケージ表示に基づく。商品リニューアルにより変動する場合があります)

食品カロリー(kcal)糖質(g)脂質(g)価格目安(円)一口コメント
井村屋スポーツようかん(あずき)約116約270.1170〜200脂質ほぼゼロ。押し出すだけの包装で走行中も食べやすい
セブンプレミアム煉羊羹約151約370.3100前後コスパ優秀。脂質ほぼゼロで糖質量はジェル級
薄皮つぶあんぱん(1個)120〜130約25約2.030〜40(5個入り割り)噛んで食べる満足感あり。脂質も許容範囲
おにぎり(梅・昆布・塩)170〜18035〜400.5120〜150米のデンプンで持続的なエネルギー供給。低脂質の具を選んで
バナナ(1本)約86約220.250〜100天然の補給食。カリウム補給にも
エナジージェル各種100〜12025〜300200〜300即効性は高いがコスト大。満腹感はほぼなし

選ぶときのポイントは「低脂質・高炭水化物」であること。
脂質は消化吸収に時間がかかり、運動中は血流が筋肉に集中しているため、胃腸への血液が減って消化不良や吐き気を招きやすくなります。

絶対に避けたい「高脂質の罠」

糖質を摂るつもりで手に取った商品が、実は脂質の塊だった——

このミスは思いのほか多いのです。パッケージの栄養成分表示を裏返す習慣をつけておきましょう。

NG食品カロリー脂質なぜ避けるべきか
もちぷよ(ローソン)約232kcal約13.5gクリーム系は脂質過多。消化に時間がかかり運動効率ダウン
カレーパン350kcal以上20g以上揚げ油の脂質が胃に重い。消化に数時間を要する
デニッシュ系パン300kcal以上15g以上バター由来の脂質が多く、ライド中のエネルギーになりにくい
どらもっち(ローソン)約258kcal約8.6gあんこ+ホイップの合わせ技。脂質8.6gはやや高い

コンビニに寄ったら「脂質5g以下」をひとつの判断ラインにしましょう。和菓子コーナーへ一直線に向かえば、まず外すことはありません。

エナジージェルの出番はいつか——「ここぞ」の一発

エナジージェルが無用だと言いたいわけではありません。マルトデキストリンやフルクトースを主成分とし、消化吸収が速いジェルには明確な活躍の場があります。

ヒルクライムの直前や最中
峠の途中でおにぎりを頬張るのは現実的ではないし、固形物の消化を待つ余裕もないでしょう。
ジェルなら片手でサッと摂れて、比較的短い時間でエネルギーが血中に届き始めます。

ハンガーノックの兆候が出始めた際の「緊急レスキュー」
手のふるえ、視界のかすみ、異常な発汗——
こうした症状を感じたら、ためらわずジェルを投入してください。

裏を返せば、平坦路をゾーン2で淡々と走るダイエットライドでは、ようかんやあんぱんで十分に間に合います。

高価なジェルは「ここぞ」の場面のためにバックポケットに1本だけ忍ばせておく。これが財布にも身体にもやさしい運用法です。

ジェルで胃がムカムカする場合の対処

ジェルを飲んだ後に胃がもたれる、という悩みを抱えるライダーは珍しくありません。

原因の多くは「高浸透圧」にあります。糖分濃度が高いジェルを水なしで飲むと、胃の中で水分を吸い寄せ、消化器に負担がかかるのです。

対策は3つあります。

対策1
ジェルの前後に必ず水をひと口含むこと。

対策2
次に一気飲みせず、2〜3回に分けて少しずつ口に流すこと。

対策3
自分の胃と相性のよいブランドを見つけるまで、練習ライドでいろいろ試すこと。
レース本番でいきなり初めてのジェルを使うのだけは避けましょう

コスパに優れた自作CCDドリンク

市販のスポーツドリンクは糖分が多すぎたり、逆に薄すぎたりすることがあります。自分好みの濃度で調合できるのが、CCD(クラスター・デキストリン)ドリンクの自作です。

作り方はいたって簡単。

ボトル(750ml)にCCDパウダー(マルトデキストリン系でも可)を30〜40g、塩をひとつまみ(0.5〜1g程度)、お好みでレモン果汁やクエン酸を少々加えるだけ。

これで1時間分の糖質と電解質を同時にまかなえます。市販品を毎回買い続けるよりコストは大幅に抑えられるはずです。

自己嫌悪を断ち切るライド前後の食事戦略——「運動直後の30分」で爆食いを防ぐ

ライド前の朝食——肝臓のグリコーゲンタンクを満たす

週末のロングライドに出る前、何を食べるかで最初の90分のパフォーマンスが左右されます。

出発の2〜3時間前に消化のよい炭水化物を中心とした朝食を摂りましょう。
おにぎり2個、トースト、うどんあたりが使いやすい選択肢です。
脂質と食物繊維はほどほどに抑えて、胃腸トラブルの芽を摘んでおくのが得策です。

一方、平日の朝練(60分以内・低強度)であれば、あえて絶食状態で走るという考え方もあります。グリコーゲンが少ない状態で脂肪燃焼酵素の活性化を狙う手法で、科学的にもねらい自体は妥当とされています。

ただし適用できる場面は限られています。

低強度・短時間に限定すること、
頻度を週1〜2回にとどめること、
翌日のトレーニングへの悪影響を考慮すること——

これらを守らないと、コルチゾールが跳ね上がって筋分解や日中の過食を招く恐れがあるのです。
強度を上げるならバナナ半分やゼリー飲料で最低限の糖質は入れてから走り出してください。

帰宅直後のリカバリー食——この30分がダイエットの分岐点

さて、ここからが一番大切な話になります。

帰宅後の行動ひとつで、その日のダイエットの成果が大きく変わるといっても大げさではありません。

シャワーより先に、まず糖質とタンパク質を口にしてください
目安は「糖質3:タンパク質1」の比率です(森永製菓, n.d.)。

たとえば鮭おにぎり1個+オレンジジュース200ml。
あるいはプロテインシェイクをフルーツジュースで割ったもの。
カロリーにして200〜300kcal程度で十分です。

なぜ運動直後が重要なのか。

このタイミングではインスリン感受性が非常に高まっています。
糖質を摂ると分泌されたインスリンが、栄養素を脂肪ではなく枯渇した筋肉のグリコーゲン補充に優先的に振り向けてくれるのです。

さらに血糖値を速やかに回復させることで、脳の飢餓シグナル(コルチゾール・グレリン)を鎮め、夕食での暴食を強力にブロックできます(日本スポーツ栄養協会; 大塚製薬)。

ふだんは「脂肪を蓄える犯人」と嫌われがちなインスリンが、運動直後に限っては「筋肉にタンパク質を届ける運び屋」に変わります。

運動と栄養のタイミング次第で、同じホルモンの役割がまるで違ってくるのは、なんとも興味深い話ではないでしょうか。

なお、特にリカバリーを急ぐ必要がある場合(翌日も長距離を走る場合など)は、運動後なるべく早い段階から数時間にわたって、糖質を1.0〜1.2g/kg/時のペースで継続的に補うことが推奨されています。

日帰りのダイエットライドなら、200〜300kcal程度のリカバリー食を1回摂るだけでも大きな違いが出てくるはずです。

時間栄養学が示すプロテイン摂取の新常識

「プロテインは運動直後がゴールデンタイム」とよく耳にしますが、最近の研究ではさらに面白い知見が報告されています。

早稲田大学と長崎大学の共同研究グループがマウスを用いた実験で、朝にタンパク質(とりわけ分岐鎖アミノ酸)を摂取したほうが、夕食で同量を摂った場合よりも筋肥大効率が有意に高かったことを実証しました(早稲田大学ニュースリリース, 2021年7月7日)。

これは「時間栄養学」と呼ばれる分野の成果で、体内時計(サーカディアンリズム)と栄養摂取のタイミングを組み合わせたアプローチです。

マウスでの知見が人間にそのまま当てはまるかはまだ研究途上ですが、1日の総タンパク質量が足りている前提で朝食の比重を上げることは、理にかなった戦略だといえるでしょう。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、一般成人の維持に必要なタンパク質量として推奨量が体重1kgあたり約0.9g/日前後とされています。
ロードバイクで週末にロングライドをこなすアクティブな方なら、1.2〜1.6g/kg/日を目安にするのが妥当でしょう。

体重65kgの場合、1日あたり78〜104g。コンビニのサラダチキン(タンパク質含有量が1個あたり約25g)に換算すると3〜4個分に相当します。

「脱水」を「空腹」と取り違えていないか

もうひとつ、意外な落とし穴があります。

脳は「のどの渇き」を「空腹」と混同することがあるのです。
ライド後の猛烈な食欲が、実は脱水のサインだったというケースは少なくありません。

帰宅後、食事に手を伸ばす前にまず500ml程度の水分(水、炭酸水、ノンカフェイン茶)を摂ってみてください

ひと呼吸おくだけで、にせものの食欲がすうっと引いていくことがあります。
また、ライド前後の体重を測り、減少分が体重の2%以内(70kgなら1.4kg以内)に収まるよう水分管理を心がけることも大切です。

Q&A——ロードバイクダイエットの補給にまつわるよくある疑問

補給食を走行中に食べたら太りませんか?罪悪感がぬぐえません。

その心配、とてもよくわかります。でも罪悪感を抱く必要はまったくありません。

走行中に40〜60g/時間の糖質を摂っても、それは160〜240kcal程度です。
一方、同じ時間に消費するのは400〜560kcal前後。差し引きでは確実にマイナスです。

むしろ補給を我慢して帰宅後にドカ食いするほうが、結局は1日の総摂取カロリーが跳ね上がります。ライド中の補給食は「太る食事」ではなく、「帰宅後の暴食を防ぐ保険」だと発想を切り替えてみてください。

低糖質ダイエットをしていても、ロードバイクの補給食は必要ですか?

90分以上のライドでは必要です。日常の低糖質食と、運動中の糖質補給は分けて考えるべきでしょう。

先述のとおり、糖質は脂肪燃焼のための「種火」です。
走行中にその種火を絶やしてしまうと、燃焼効率そのものが鈍ります。

普段の食事で糖質をコントロールし、運動中には必要量をきちんと摂る。この使い分けが、体づくりとパフォーマンスを両立させるカギです。

ジェルとバー(固形物)、どう使い分けるのがベストですか?

ライドの前半は固形物(バー、ようかん、あんぱんなど)、後半はジェルやゼリー飲料——これが基本の線引きになります。

前半は胃腸が元気なので、しっかり噛んで食べる固形物のほうが満足感を得やすく、血糖値の上がり方も穏やかです。
後半は疲れで消化力が落ちるため、吸収の速いジェルやゼリーが適しています。

朝練で空腹ライドをすると痩せやすいって本当ですか?

60分以内かつ低強度(ゾーン2以下)であれば、空腹状態で脂肪燃焼酵素の活性化を狙う「Train Low」は有効とされています。

ただしこれは「低強度・短時間」に限った話です。
強度を上げたり、60分を超えたりすると、コルチゾールの過剰分泌による筋分解や日中の過食を招くリスクが高まるため、最低限の糖質(バナナ半分やゼリー飲料)は口にしてから走り出しましょう。

補給食の収納はどうすればいいですか?

サイクルジャージの腰ポケット(バックポケット)が定番の収納場所です。
走りながら手を後ろに回して取り出せるので、止まらずに補給できます。

ただし詰め込みすぎるとジャージが後方へ引っ張られて不快になるため、3〜4個が限度でしょう。
また、ロングライドではフレームバッグやトップチューブバッグを併用すると、取り出しやすさが格段に向上します。


ここまで読み進めてくださったあなたは、もう「食べずに走る」が正解でないことを十分に理解しているはずです。

次のライドでは、バックポケットにようかんを1本忍ばせてみてください。

たった116kcalの小さな一口が、ハンガーノックの恐怖からあなたを遠ざけ、帰宅後のドカ食いの連鎖を断ち切ってくれます。
そして走り終わった直後に、プロテインシェイクの1杯。この二つの習慣を根づかせるだけで、ロードバイクダイエットの景色はがらりと変わるでしょう。

走ること自体は手段にすぎません。

目的は「健康で軽やかな身体」を手に入れること。自分の身体というエンジンを、ロードバイクの機材メンテナンスと同じくらい丁寧にケアしてみませんか。
科学を味方につければ、補給食は「罪悪感」から「武器」に変わります。

もっと詳しいトレーニングメニューや脂肪燃焼に効果的な心拍ゾーンの活用法を知りたい方は、当ブログの「ロードバイク時速20kmは遅くない!「巡航と平均」の罠とラクに維持する3つの科学」もぜひチェックしてみてください。

50km以上のライドに挑戦したい方には「ロードバイク平坦50km平均速度の目安と【脱・初心者】の壁!後半タレない3つの秘策」がきっと役に立ちます。

さあ、次の週末こそ「賢く食べて、かしこく走る」ライドへ出かけてみませんか。

まとめ

ロードバイクダイエットにおける補給食とそのタイミングについて、生理学的なメカニズムから具体的な商品選びまで幅広くお伝えしてきました。

ここで核心となるポイントを振り返っておきます。

「補給しないほうが痩せる」は誤り。
体内のグリコーゲン貯蔵量(目安として約1,500〜2,000kcal)には限りがあり、糖質が不足すると脂肪燃焼の効率まで低下します。
さらにコルチゾールの暴走が、帰宅後のドカ食いと内臓脂肪の蓄積を招きかねません。

90分以上のライドでは1時間あたり40〜60gの糖質を摂取する。
15〜20分おきの「ちょこちょこ食べ」で血糖値をなだらかに保ち、脂肪燃焼エンジンの「種火」を途切れさせないことが大切です。

コンビニのようかんとあんぱんはサイクリストの頼れる味方。
低脂質・高炭水化物で消化もよい。高価なジェルはヒルクライムや緊急時に絞り、普段は和菓子で十分まかなえるでしょう。

帰宅直後に「糖質3:タンパク質1」のリカバリー食を摂る。
これが夕食の暴食を防ぐ最大の防波堤であり、筋肉の回復を加速させるカギになります。

ロードバイクという最高の相棒を持つあなたに必要なのは、もうひとつの武器——
「科学に基づいた補給の知識」です。

今日からの実践が、半年後の体型を変えてくれるはず。30年以上ペダルを回してきた者として、それを確信しています。


参考文献・引用

※本記事は以下の資料・データに基づき作成しました。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。最新の在庫状況や価格については各販売店の公式サイトまたは店頭でご確認ください。
※安全に関する注意:ロードバイクは車両です。道路交通法を遵守し、ヘルメット着用、適切な装備での走行を心がけてください。