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ロードバイク 街乗り 不便

【失敗しない】ロードバイク街乗りの不便を解消する3ステップ

この記事を読んでわかること
  • ロードバイクが街乗りに向かない「構造的な理由」と、その裏にある設計思想
  • 駐輪・盗難リスクを最小化する地球ロック&二重ロックの正しいやり方
  • 28c〜32cタイヤへの換装やフラットペダル導入など、街乗り快適カスタムの費用感
  • 2026年4月1日施行の自転車「青切符」制度(16歳以上対象)で変わる交通ルールの要点
  • クロスバイク・グラベルロード・ミニベロとの機能比較で見える最適な車種選び
  • 「自分はロードで街乗りできるか」を判断する7項目の自己診断チェックリスト

はじめに

休日のロングライドで風を切ったあのロードバイク。帰り道にふと、「これで通勤したら毎朝が最高じゃないか」と胸が高鳴った。翌週月曜、意気揚々と愛車にまたがる。

ところがコンビニに立ち寄ろうとしたら駐輪できる場所が見当たらない。
スタンドもカゴもない愛車を、レジ袋片手に壁へ立てかけるあのバツの悪さ。

あなたは、そんな経験したことはありませんか?

ロードバイクはもともと、舗装路を高速かつ長距離走るために研ぎ澄まされたレース機材です。
だから街中での「止まって・降りて・積んで・また走る」という細かな動作の連続とは、根本的にかみ合わないところがあります。

とはいえ「不便だから無理」と片づけてしまうのは、あまりにもったいない話。

実のところ、どこにどんな不便が潜んでいるかをきちんと知り、ピンポイントで手を打てば、驚くほど快適に化けるケースも少なくありません。

この記事では、私が30年以上さまざまな自転車に乗り続けてきた経験をもとに、ロードバイクの街乗りで起こりがちな「7つの落とし穴」と、それぞれの具体的な解消術をお伝えしていきます。

もくじ

消耗する脚と折れそうな心|ストップ&ゴーが「つらい」本当の理由

信号を10回ほど超えたあたりで、「もしかして、これはママチャリのほうがラクなのでは……」と脳裏をよぎった経験はありませんでしょうか。

街中を走ると疲れる原因は、単純に信号が多いからだけではありません。
車体そのものの設計が、高速巡航に最適化されていることに原因があるのです。

低速で感じるふらつきの正体——フレーム設計と姿勢の話

フレームは、前輪と後輪の距離(ホイールベース)がシティサイクルと比べて短く設定されています。

ホイールベースの短い車体は、ある程度の速度域では機敏にコーナーを曲がれる反面、低速ではバランスを保ちにくく、ハンドルがふらつきやすい傾向を持っています。

ここにドロップハンドル特有の深い前傾姿勢が加わると、視線が路面寄りに落ちて周囲の確認がワンテンポ遅れがちになります。

混雑した市街地で歩行者と路上駐車を同時にケアしながら、ヨタヨタと進む——

想像しただけでも気が重くなるかもしれません。これは腕や肩だけでなく、精神面にもずしりと負荷がかかるものです。

さらに、ギア比は高速域に合わせて組まれていることが多いため、信号待ちからの発進では重いペダルを踏み込む力が必要になります。

回しきれないまま次の赤信号で停止し、また重いギアから漕ぎ出す。この繰り返しが太ももの疲労を加速させる大きな要因でしょう。

シティサイクルが内装3段の軽いギアでスイスイ走り出せるのとは、対照的な乗り物と言えます。

信号地獄を「回避」するルート選びと軽いギアの活用

では、どうすれば消耗を抑えられるのか。

もっとも即効性があるのは、そもそも信号の少ないルートを走ることです。
河川敷のサイクリングロードや、幹線道路の側道をうまく組み合わせ、信号密度の低い経路を事前にアプリで調べておきましょう。

GoogleマップやStravaのヒートマップを使えば、実際にライダーが多く通っているルートを可視化できます。

それでも市街地を通らざるを得ない場面では、ギアの使い方を意識してみてください。

発進時にはリア側を2〜3段軽くしておき、速度が乗ってきたら徐々にシフトアップする。「軽いギアで回転数を上げて走る」と自分に言い聞かせるだけで、膝への負担はかなり減ります。

片面SPDペダルのShimano PD-EH500(実勢価格約10,000〜12,000円)に換装すると、ビンディングシューズとスニーカーを場面で使い分けられるようになり、街乗りでの乗り降りがぐっとスムーズになるはずです。

戦慄の段差とマンホール|細タイヤが「恐怖」を生むメカニズムと太タイヤの威力

歩道の段差でガツンと手首に来た

マンホールの上でズルッと滑りそうになった

——こうした恐怖体験は、街乗りデビューした人の”あるある“です。

けれど、怖いのはあなたの技術不足ではなく、タイヤ幅と空気圧の組み合わせが市街地の路面に合っていないだけかもしれません。

細タイヤと路面ギャップ——リム打ちパンクが起きる仕組み

タイヤ幅は、かつて23mmが主流でした。

近年は25mmから28mmへと業界全体で太くなる傾向が進み、エントリーモデルでも700×28c標準装着の完成車が珍しくありません(参考:ANCHOR RL3 DROPは28c装着。Y’s Road, 2025)。

とはいえ、28mmでもシティサイクルの35〜40mm幅と比べればかなり細い部類に入ります。

タイヤが細いと何が起きるのか。
まず、タイヤ内部の空気量(エアボリューム)が少ないため、同じ高さの段差を乗り越える際に衝撃を吸収しきれません

とくに空気圧が不足した状態で段差に突っ込むと、タイヤがリム(ホイールの縁)との間でチューブを挟み、「リム打ちパンク」が発生します。

パンク痕がヘビに噛まれたように2つの穴になることから、英語では「スネークバイト」とも呼ばれるトラブルです(REI, n.d.; BikeRadar, n.d.)。

28cから32cへの換装で一変する乗り心地——費用と注意点

街乗りカスタムとして真っ先に検討したいのが、タイヤの太さを上げることです。

28cから32cに換装した場合、断面積の比率で計算するとエアボリュームはおよそ30%増になります。
この違いは体感でもはっきりわかり、路面の細かな凹凸が驚くほどマイルドに感じられるようになります。

ただし注意点がひとつ。

フレームとブレーキのクリアランス(タイヤとフレームの隙間)を事前に確認してください。旧型のキャリパーブレーキ車では25mmが上限というケースもあり、無理に太いタイヤを入れるとフレームやブレーキシューとの干渉を起こします。

近年のディスクブレーキ搭載車であれば32c対応のクリアランスを備えたモデルが増えているため、そちらのほうが選択肢は広がるでしょう。

費用の目安は、タイヤ2本+チューブ2本で約10,000〜15,000円。

大手ECサイト3社の平均実勢価格に基づくと、
タイヤ1本が約4,000〜5,500円、
チューブ1本が約800〜1,200円です。

ショップでの工賃を含めても20,000円以内に収まることが多いはずです。

チューブレス化という一歩先の選択——パンク耐性をさらに上乗せ

もう一段踏み込んだ対策が、チューブレス化です。

チューブレスタイヤはその名のとおりチューブを使わない構造のため、チューブがリムに挟まれて起きるピンチフラット(いわゆるリム打ちパンク)は起きにくくなります。

内部に充填するシーラント(液状の補修剤)が小さな穴を自動で塞いでくれるため、ガラス片や小石による貫通パンクにも強い。街乗りでの安心感は段違いと言えるでしょう。

ただし、低圧のまま激しい段差を踏んだ場合にはタイヤ自体が損傷する可能性は残ります。「チューブレスにしたから絶対パンクしない」とは考えず、あくまでリスク低減策として捉えてください。

また、シーラントは気温や湿度にもよりますが2〜7か月ほどで乾燥するため、定期的な補充が欠かせません。
初期導入コストはクリンチャー(通常のチューブ式)より高くなるので、まずは28c〜32cへの換装で効果を実感し、そのあとにチューブレス化を検討するのが合理的な順序でしょう。

愛車が消える悪夢と駐輪の壁|盗難リスクを「最小化」するロック戦略

走行中の不便さ以上に、ライダーの胸を締めつけるのが「止めている間の不安」です。

コンビニに5分立ち寄るだけでも、視界から愛車が消えた瞬間にドキドキが止まらない
この恐怖感こそが、愛車を普段使いしにくいと感じさせる最大の心理的な壁ではないでしょうか。

なぜロードバイクは盗まれやすいのか——車体特性と犯罪心理

理由は明快です。

まず軽い
エントリーモデルでも8〜10kg程度しかなく、鍵を切断できれば片手で持ち去れてしまいます

次にパーツ単体でも換金しやすい
ホイール、コンポーネント、サドルなどはフリマアプリやオークションサイトで個別に売りさばけるため、車体丸ごとではなくパーツだけ狙われる被害も頻繁に報告されています。

そのうえ、ドロップハンドルの外見がいかにも「高価そう」に映ることも拍車をかけます。ロードバイクの知識がない通行人でさえ、ロードバイクは一目で高額車種と識別できてしまうのです。

地球ロック+二重ロックの実践——U字ロックとワイヤーの使い分け

盗難対策の基本は「地球ロック」と「二重ロック」の併用に尽きます。

地球ロックとは、フレームとホイールをガードレールや柱など地面に固定された構造物にロックでつなぐ手法のこと。
鍵が車体だけに巻かれた状態では、自転車ごと車に積まれるリスクがあるため、必ず固定物を経由させてください。

実践的な組み合わせとしては、高強度U字ロック(例:ABUS Granit X-Plus 540、公式重量約1,500g)でフレームとリアホイールを固定物につなぎ、延長ワイヤーまたはチェーンロック(例:Kryptonite KryptoFlex、約3,000〜5,000円)でフロントホイールもカバーする方法が有効です。

なお、ABUS 540の実勢価格は相場変動がありますが、2026年2月時点では国内流通で約19,000〜30,000円前後が確認できます。
ワイヤー単体は切断が容易なため、あくまでU字ロックの補助として使うのがポイントです。

ロックの携行重量は合計で1.5〜2kgほどになりますが、これは水の入ったボトル約2本分に相当する程度。
盗まれて数十万円を失うリスクと天秤にかければ、十分に納得できる重量増ではないでしょうか。

GPSトラッカーとAlterLock——テクノロジーが守る最後の砦

物理ロックに加えて、近年注目を集めているのがGPSトラッカーによる追跡です。

日本発のAlterLock(オルターロック)は、振動を検知するとスマホに即座にアラート通知を送り、GPSで車体の位置を追跡できるデバイスとして多くのライダーに支持されています。

ボトルケージ台座に取り付けるため外見上は目立たず、犯人に気づかれにくいのも利点でしょう。
サービス利用料は月額396円(年額プランなら3,960円)で、1契約でデバイス最大3台まで登録可能です(AlterLock公式, 2024)。

高額なロードバイクの保険代と考えれば、十分に検討の価値があるのではないでしょうか。

もちろん、GPSはあくまで「盗まれたあとの追跡手段」であり、盗難そのものを防ぐのは物理ロックの仕事です。

地球ロック+二重ロック+GPSトラッカーの3段構えが、現時点で考えうるもっとも実効性の高い防衛策と言えます。

駐輪場の見つけ方とコンビニ駐輪のマナー

意外と困るのが、そもそも駐輪場所の確保です。

駅前に多い「前輪を金属ラックに押し込むタイプ」の駐輪場は、カーボンリムや細いスポーク、ディスクブレーキのローターにダメージを与えるおそれがあるため、できれば避けたいところ。

対策としては、目的地周辺の駐輪環境を事前にリサーチする習慣をつけておくことです。

最近は自治体が運営する有人・屋内型の駐輪場も各地で増えています。コンビニに立ち寄るときは、店舗の窓から見える位置に短時間で停め、地球ロックを忘れずに。

長時間放置は店舗への迷惑になりますから、買い物は手早く済ませるのがマナーです。

あなたのロードバイク、街乗りでどれだけ不便を感じていますか? 

「駐輪のたびにヒヤヒヤする」
「段差が怖くてルートが限られる」——
そんな方は、まずタイヤの太さとロックの強度を見直すところから始めてみてください。

この2つだけで、街乗りの快適度は別物に変わります。

絶望の背中汗と荷物の壁|街乗りの「生活実用」を攻略するアイテム選び

カゴがない。
泥除けもない。
チェーンカバーもない。

シティサイクルには当たり前についている「生活の道具」としての装備が、ロード車にはことごとく省かれています。
グラム単位の軽量化と空力を追い求めた結果であり、レース機材としては正解なのですが、通勤や買い物にはどうしても足りない部分が出てきます。

バッグの選び方——トップチューブ・サドル・フレームバッグの三択

この手の車体で荷物を運ぶ手段は、
「身体に背負う」か
「車体に装着する」か
の二択になります。

バックパックは容量面では頼もしいものの、前傾姿勢と相まって背中がジワッと蒸れ、夏場の通勤では深刻な汗問題を引き起こしかねません。

車体装着型のバッグは主に3種類。

トップチューブバッグ(フレーム上部の小型バッグ)
スマホや財布といった小物の収納に便利で、走行中の重心変化もほとんどありません。

サドルバッグ
容量の幅が広く、小型ならパンク修理キット、大型なら着替え一式が入ります。

フレームバッグ
フレームの三角形部分に装着するタイプで、重心が低く安定しやすいのが強み。ただし、ボトルケージと干渉しやすいため、サイズ選びには慎重さが必要です。

買い物の荷物が多い場面では、シートポストに固定するタイプのキャリア(約5,000〜10,000円)とパニアバッグの組み合わせも選択肢に入るでしょう。

ただし重心が高く後方に偏るため、ダンシング(立ち漕ぎ)やコーナリングのフィーリングは明らかに変化します。
あくまで「走る楽しさ」より「運ぶ実用性」を優先する場面限定と割り切るのがおすすめです。

泥跳ね・裾巻き込み・汗——服装まわりの3大ストレスを片づける

雨上がりの路面を走ると、フェンダー(泥除け)のないフェンダーなしの車体では背中やお尻に泥水のラインがくっきり描かれます。

フルフェンダーの装着はフレーム構造上むずかしいケースが多いのですが、サドル下やダウンチューブにベルクロで着脱できる簡易フェンダー(約2,000〜5,000円)なら工具なしで取り付けが可能です。
完全防御は望めなくても、背中への泥跳ねはかなり軽減されるはずです。

裾の巻き込み対策には、裾バンド(レッグバンド)が約500円で手に入ります。
チェーンカバーのないスポーツバイクでは、右脚の裾がチェーンリングに触れて油汚れがつくのは日常茶飯事です。

面ファスナーのバンドひとつで解決できるのに、知らずにズボンを汚している方は意外と多いものです。

汗対策については、速乾素材のインナーシャツを1枚着ておくだけで快適さが段違いに変わります。
通勤であれば職場に着替えとデオドラントシートを常備し、到着後にさっと身支度を整えるのが現実的でしょう。

キックスタンドは付けていいのか?——フレーム素材で変わる判断

「スタンドさえあれば……」と思う場面は、きっと多いはずです。

結論から言えば、アルミフレームであれば後付けスタンドの装着は可能なケースが大半を占めます。
チェーンステーやシートステーにクランプするタイプ(約2,000〜5,000円)が一般的で、取り付け自体もさほどむずかしくありません。

一方、カーボンフレームへのスタンド装着はリスクを伴います。
カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)は、設計された方向の力には非常に強いものの、クランプで「挟む」方向の圧縮応力には弱い素材です。

薄肉のカーボンチューブにスタンドの締め付け荷重が集中すると、目に見えないクラック(微細亀裂)が入る危険があります。

メーカー各社(Trek、Canyon、Giantなど)は、損傷が疑われるカーボンフレームの即時使用停止と専門店での点検を推奨しており、スタンド由来のダメージも同様の注意が必要です。

カーボン車の場合は、携帯型の簡易スタンド(クランク軸に引っかけるタイプなど、約1,500〜3,000円)を持ち歩くか、壁や柱に立てかける前提で運用するのが安全でしょう。

もしこの記事を読んで「やっぱり自分にはクロスバイクやグラベルロードのほうが合いそうだ」と感じたなら、その直感もまた正解です。

大切なのは、自分のライフスタイルと使い方に正直になること。
次のセクションでは、車種ごとの冷静な比較をお届けします。

知らないでは済まない交通ルール|2026年「青切符」時代の車道走行リアル

公道を走る以上、道路交通法の理解は避けて通れません。

とりわけ2026年(令和8年)4月1日からは、16歳以上の自転車利用者を対象に交通反則通告制度——いわゆる「青切符」——が導入されます(警察庁, 2025)。

違反行為への取り締まりがこれまで以上に実効性を持つものへと変わるため、ルールの再確認はいまのうちに済ませておきたいところです。

車道が原則、歩道は例外——意外と知らない基本ルール

道路交通法上、自転車は「軽車両」に分類されます。
歩道と車道の区別がある道路では、車道の左端を走行するのが原則です(警察庁「自転車は車のなかま」)。

歩道を通行できるのは、以下の例外に限られます。

一つ目は「普通自転車歩道通行可」の標識がある場合。
二つ目は運転者が13歳未満または70歳以上の場合。
三つ目は、車道の状況からみて安全確保のためにやむを得ないと認められるときです。

歩道を走行する際は歩行者優先が絶対であり、すぐに停止できる速度で徐行する法的義務が課されています。

ライト・ブレーキ・反射材——保安部品を外した車体は違法

夜間走行時のライト点灯は義務です。

前照灯は前方10mの障害物を確認できる白色または淡黄色のもの、反射板(または尾灯)は後方100mから自動車の前照灯で照射して確認できる性能が求められます(警視庁, n.d.)。

美観や軽量化のために保安部品を外す行為は、道路交通法違反であるだけでなく、夜間の重大事故を招きかねません。

ブレーキについても、時速10kmの状態から3m以内で停止できる前後輪ブレーキの装着が義務です。
整備不良のまま公道を走ること自体が法律に抵触し、青切符制度の導入後は反則金の対象にもなり得ます。

定期的なブレーキパッド(またはシュー)の点検・交換は、安全面はもちろん法令遵守の観点からも必須と言えるでしょう。

車道が怖い——路上駐車と幅寄せへの実践的な対処

法律では車道走行が原則とわかっていても、路上駐車の多い都市部の車道はライダーにとって恐怖の空間です。

駐車車両を避けるたびに進路を右へ変え、後方から迫る自動車の速度と距離を確認しなければならない。このストレスの蓄積が、愛車を手放す人を増やしている一因とも言われています。

そこで、対処法として有効なのが、走行ルートの事前選定です。

自転車専用通行帯(自転車レーン)が整備された道路や、路側帯の広い幹線道路を選ぶだけで、体感的な安心感がまるで違ってきます。

通勤で同じ道を毎日走るなら、交通量の少ない時間帯にシフトするのも良いアイデアです。
朝7時台と8時台では車の流れがまったく別の交差点もあるものです。

走行中の被視認性を高めることも、大切な自衛策です。デイライト(昼間点灯用ライト)をフロントとリアに装着し、明るい色のジャケットやベストを着用するだけで、ドライバーからの認識距離が格段に伸びます。

大光量フロントライト+リアフラッシャーのセットは約6,000〜15,000円で入手でき、USB充電式なら日常運用のハードルも低いですね。
命を守るための投資として、これを惜しむ理由は見当たりません。

それでもロードか、乗り換えるか|クロスバイク・グラベル・ミニベロとの冷静な比較

ここまで読んで「対策が多すぎる。もっとラクな自転車にしたほうがいいのでは?」と感じた方もいるでしょう。

正直なところ、その直感は正しい場合が多いです。
街乗り運用は「条件付きの局所的な最適解」であり、万人におすすめできる使い方ではありません。

クロスバイク——街乗りバランスの王者

クロスバイクは同じ700Cホイールを採用しつつ、フラットバー(平らなハンドル)による上体を起こした姿勢と、28〜35mm程度のやや太めのタイヤを備えています。

この組み合わせが市街地での広い視界と低速時の安定性、段差への耐性を同時にもたらしてくれます。
多くの場合スタンドやキャリアの後付けも容易で、通勤や買い物といった実用面ではロードバイクを大きく上回るでしょう。

「ロードかクロスか」で迷っている方は、日常の主な用途を冷静に振り返ってみてください。

片道5km以内の通勤で、週末のロングライドに興味がないなら、クロスバイクのほうが圧倒的にストレスの少ない選択です。

グラベルロード——ドロップハンドルを手放せない人への回答

近年急速に人気を集めているグラベルロードは、ロードバイクのドロップハンドルによる巡航性能を維持しながら、未舗装路も走れる35〜40mm以上の太いタイヤと油圧ディスクブレーキ、そして豊富な積載用マウント(ダボ穴)を備えたジャンルです。

路面ギャップへの不安を大幅に軽減し、フルフェンダーやキャリアのスマートな装着も可能にしている点は、街乗りロードの不満をほぼ一台で解消していると言えます。

「ドロップハンドルの走行感は譲れないけど、街乗りの不便は我慢できない」——
そんなわがままに応えるモダンな回答でしょう。

ミニベロとシティサイクル——「ちょい乗り」の究極形

20インチ以下の小径ホイールを持つミニベロは、漕ぎ出しの軽さが最大の武器です。

ストップ&ゴーが連続する市街地で、信号待ちからの発進がまったく苦にならない。
車体がコンパクトなため室内保管も容易で、狭い路地を縫って走るカフェ巡りには抜群のフットワークを発揮します。

一方、片道3km圏内の「ちょい乗り」や日常の買い物であれば、シティサイクル(ママチャリ)の実用性は他のいかなるスポーツ自転車も追随できません。

前カゴ、泥除け、チェーンカバー、オートライト、リング錠——すべてが初期装備されており、雨でも服装を選ばず、駐輪場の金属ラックにも遠慮なく停められます。

車種別の機能比較——あなたが重視するのは「速さ」か「便利さ」か

評価項目ロードバイククロスバイクグラベルロードシティサイクルミニベロ
長距離巡航の速度・爽快感◎ 最高○ 良好○ 良好× 不向き△ やや劣る
ストップ&ゴー耐性△ 疲労大○ 良好○ 良好○ 良好◎ 最高
段差・悪路への強さ× 最弱○ 良好◎ 最高○ 良好△ 注意要
積載性(カゴ・ラック)× 基本不可○ 後付容易◎ 専用マウント多数◎ 標準装備○ 専用品あり
駐輪しやすさ× 気を使う△ スタンド後付可△ スタンド後付可◎ 標準装備○ 省スペース
維持費・メンテ容易さ× 高額・手間大△ 定期メンテ要△ 定期メンテ要◎ 安価・手間なし△ 定期メンテ要
服装の自由度× 専用ウェア推奨△ 裾巻込注意△ 裾巻込注意◎ カバー完備○ 比較的自由

この表を眺めると、ロード車の「×」の多さは一目瞭然です。

しかし、「長距離巡航の◎」だけは他のどの車種にも代替できない圧倒的な強み。
片道10kmを超える通勤で、走行ルートの大部分がサイクリングロードや路側帯の広い幹線道路であれば、ロードバイクの軽量性と巡航速度は、他のどの車種よりも高い満足度をもたらしてくれるはずです。

Q&A: よくある疑問をスパッと解決

ロードバイクにカゴは付けられますか?

純粋なロードフレームにはカゴ取付用のダボ穴がないため、一般的な前カゴの装着はむずかしいです。代替策として、ハンドルバーに取り付けるフロントバッグや、シートポスト固定式のリアキャリアにパニアバッグを装着する方法があります。

なお、ハンドルに買い物袋をぶら下げる行為は前輪への巻き込みによる転倒リスクが高く、NITE(製品評価技術基盤機構)も注意喚起しています。絶対に避けてください。

ロードバイクとクロスバイク、通勤にはどちらが合いますか?

片道5km以内で信号が多い市街地通勤ならクロスバイク、片道10km以上で信号の少ないルートを走れるならロードバイクが適しています。中間の5〜10kmは個人の優先度次第。

「速さより利便性」ならクロス、「通勤も趣味の延長で楽しみたい」ならロードを選ぶと後悔が少ないでしょう。

メンテナンスの手間と年間コストはどれくらい?

ロードバイクを日常的に使った場合の年間ランニングコストを、通勤片道10km・週4日走行(年間約3,800km)を想定して試算してみます。

消耗品の内訳は、
チェーン交換(年1回・約3,000〜4,000円)、
タイヤ交換(年1〜2回・約8,000〜12,000円)、
ブレーキパッド交換(年1〜2回・約2,000〜4,000円)、
バーテープ交換(年1回・約2,000〜3,000円)などで、
消耗品だけで年間約20,000〜30,000円。

清掃・注油用品の補充で約5,000円。
ショップの定期点検料(年1〜2回、1回約5,000〜10,000円)を加えると、年間コストはおおむね4〜5万円前後になるケースが多いです。

シティサイクルと比べると明らかに高額ですが、自動車やバイクの維持費に比べればはるかに安い、という見方もできるでしょう。

街乗り向けのロードバイクを選ぶなら、どんなスペックに注目すべき?

2026年時点で街乗りも視野に入れるなら、注目すべきポイントは3つ。

28c以上のタイヤクリアランスがあること、
ディスクブレーキを搭載していること、
そしてエンデュランスジオメトリ(やや起きた乗車姿勢の設計)であることです。

Trek Domane ALシリーズやGIANT Contendシリーズなど、15〜20万円帯のエントリーモデルにはこれらを満たす車種が多く、専用フェンダーやキャリア用マウントを備えたモデルも存在します。

まとめ

ロードバイクの街乗りが不便に感じられるのは、機材の設計思想と都市環境が求めるものが根本的に食い違っているからです。

低速でのふらつき、
段差やマンホールへの脆弱性、
駐輪のむずかしさ、
盗難リスク、
積載性の欠如、
服装の制約、
そして法律と車道環境のギャップ——

この「7つの落とし穴」は、「走ること以外を極限まで削ぎ落とした」レース機材ゆえに避けがたく発生するものです。

しかし、28〜32cタイヤへの換装(約10,000〜15,000円)、
フラットペダルの導入(約4,000〜10,000円)、
高強度U字ロック+延長ワイヤーの携行(約10,000〜35,000円)、
そして走行ルートの最適化——

こうしたピンポイントの対策を打つことで、不便さの大部分は許容範囲内に収まります。
合計3〜5万円ほどの投資で、通勤やカフェ巡りに使える「街乗り仕様のロードバイク」に仕上げるのは、十分に現実的な話です。

それでも「対策が面倒」「もっと気楽に乗りたい」と感じるなら、クロスバイクやグラベルロードへの乗り換え、あるいはシティサイクルとの2台持ちを検討してみてください。

ロードバイクの圧倒的な巡航性能は、片道10km超の通勤や週末のロングライドで真価を発揮するもの。
用途に応じた機材選びこそが、長く楽しい自転車生活の第一歩になるのですから。

次の休日、愛車のタイヤ幅をそっと確認するところから——

あなたの街乗り改革を始めてみませんか。


参考文献・引用