- なぜ多くの人がFTP計測を「苦行」と感じ、無意識に避けてしまうのか、その心理的な理由
- FTP計測をしないで、明日からの「週末ライド」が10倍楽しくなる具体的なパワーメーターの使い方
- Garmin ConnectやStravaでライド後に確認すべき、たった数個の重要指標の見方
- 「FTPいくつ?」と仲間に聞かれても、もう困らないスマートな答え方
- キツいテスト不要!あなたのパワーメーターが自動で「本当の実力」を教えてくれる最新テクノロジー
はじめに
平日は仕事でヘトヘト。貴重な休日に”20分間、地獄の苦しみを味わえ”なんて、無理な相談です。
でも、思い出してください。
仲間が「パワメのゾーン2を維持して淡々と登っただけだよ」と涼しい顔で自己ベストを更新した、あの日の登り坂。
あなたは、喘ぐような呼吸の中でただ小さくなっていく背中を見つめ、ペダルを踏むのをやめてしまいたい衝動と戦うしかありませんでした。
なぜ私たちはFTP計測という「呪縛」に囚われるのか?

このセクションでは、多くのアマチュアライダーがFTP計測に抱く、言葉にしづらいプレッシャーや抵抗感の正体を、歴史的背景や科学的な側面から優しく紐解いていきます。
【全ての始まり】FTPという絶対的な”物差し”の誕生
パワーメーターを手にすると必ず耳にする「FTP」。これはFunctional Threshold Power(機能的作業閾値パワー)の略です。
もともとは著名なコーチであるアンドリュー・コーガン博士によって提唱されました。その本質は、「ライダーが疲労困憊することなく、約1時間維持できる最高のパワー」を指します。
実験室で測るような専門的な数値を、屋外でも簡易的に推定するために作られた、いわば「実用的なモノサシ」だったのです。
しかし、アマチュアライダーにとって1時間の全力走はあまりにも過酷。そこで、「20分間の全力走の平均パワーの95%」をFTPとする、より現実的な方法が広く普及しました。
この簡便さがFTPをパワートレーニングの基準として不動の地位に押し上げた一方で、本来の「推定値」という意味合いが薄れ、絶対的な数値として独り歩きを始めてしまったのです。
【心のブレーキ】「もし数値が下がったら…」というパフォーマンス不安の正体
FTP計測が「苦行」と感じられる最大の理由は、単に肉体的にキツいからだけではありません。そこには、「パフォーマンス不安」という根深い心理的な抵抗が存在します。

kirakira
【筆者の失敗談】
私もかつて、大事なFTP計測の日に寝不足と仕事のストレスが重なり、前回より15Wも低い数値を叩き出してしまったことがあります。
「体力が落ちたんだ…」と数週間ひどく落ち込みましたが、今思えばそれは当然の結果でした。
コンディションも考慮せず、たった一度の結果に一喜一憂していたのです。
多くのアマチュアライダーにとって、FTP計測は特別な「イベント」です。「最高のコンディションで臨まなければ」というプレッシャーの中で、「もし前回より数値が下がったらどうしよう」という不安が常につきまといます。
このプレッシャーは、計測そのものへのモチベーションを削ぎ、パワーメーターの活用から遠ざけてしまう大きな原因となっています。
【見落とされた強み】FTPという”物差し”が測れない、あなたの本当の才能
FTPが絶対的な指標ではないもう一つの理由は、それがフィットネスの一面に過ぎないからです。
FTPは、タイムトライアルやヒルクライムのような、持続的なパワー出力が求められる場面でのパフォーマンスを予測する上で、非常に相関の高い指標です。
しかし、レースの勝敗を分ける一瞬のスプリント能力や、短い坂を駆け上がるアタックのような無酸素運動能力については、FTPの数値だけでは何も分かりません。
能力の種類 | FTPで測れるか | 重要な局面 |
有酸素持久力 | ◎(得意) | ヒルクライム、ロングライド |
スプリント能力 | ×(不可) | ゴール前のスプリント |
無酸素運動能力 | △(間接的に) | 短い急坂、アタック |
回復力 | △(間接的に) | インターバル、レース終盤 |
FTPの数値が高い選手が、必ずしもレースで強いとは限らないのはこのためです。FTPはあなたの戦闘力の一部であり、全てではないのです。
【残酷な真実】あなたのFTPは毎日変わる。絶対視が招くトレーニングの罠
最後に、最も重要な事実をお伝えします。それは、FTPは固定された数値ではないということです。
疲労、栄養状態、睡眠、ストレス、さらには気温や湿度といった外的要因によって、あなたのFTPは日々変動しています。一度のテストで得られた数値を、その後4〜6週間のトレーニングにおける絶対的な基準としてしまうと、かえってトレーニングの失敗を招く危険性があります。
- 体調が良い日:トレーニング負荷が軽すぎて、成長の機会を逃す。
- 体調が悪い日:トレーニング負荷が重すぎて、過度な疲労やオーバートレーニングに繋がる。
FTPを「審判」のように絶対視するのではなく、あくまで「参照点」として柔軟に捉えること。これこそが、「FTPの呪縛」から解放されるための第一歩なのです。
脱・宝の持ち腐れ!FTP計測しないで今日から始める「週末ライド活用術」

このセクションでは、FTP計測をしなくてもパワーメーターを最大限に活用し、あなたの週末ライドを劇的に変えるための、今日から実践できる4つの具体的なステップを紹介します。
ステップ1 まずは感覚と数値を同期する。「いつもの坂」で3秒平均パワーを記録しよう
パワーメーターを使いこなすための最も重要な第一歩は、あなたの「感覚」とサイコンに表示される「数値」を一致させることです。難しいことは何もありません。
アクションプラン
あなたの練習コースにある「いつもの坂」や平坦区間を決めて、そこを走るたびに3秒平均パワーとタイムを記録し続けてみてください。
なぜ「3秒平均」?
リアルタイムのパワー表示はブレが大きく、数値を追いかけにくいもの。多くのライダーにとって、3秒や5秒の平均パワー表示が、現在の出力を最もスムーズに把握しやすいため推奨されます。
これを繰り返すうちに、
- 「向かい風が強い日は、同じ感覚で踏んでも20Wは低いな」
- 「このくらいの”キツさ”が、大体250Wくらいか」
- 「先月より5W高くても、同じくらいの感覚で登れるようになったぞ!」
といった、あなただけの「感覚のモノサシ」ができてきます。これが、データ活用の全ての基本となります。
ステップ2 ロングライドでバテないためのペース配分術(NPとVIの活用法)
ロングライドの失敗で最も多いのが、序盤のオーバーペース。元気なうちに頑張りすぎて、終盤にエネルギー切れで失速…。
この問題を解決してくれるのが、NP(Normalized Power®)とVI(Variability Index)という指標です。
NP(正規化パワー)
アップダウンや加減速を含めて、もし一定ペースで走ったとしたら、生理学的にどれくらいの負荷に相当するかを示した数値です。
VI(変動係数)
NPを平均パワーで割った値。ペーシングの滑らかさを示し、1.05以下なら非常に安定したペースとされます。
アクションプラン
ロングライドでは、単純な平均パワーではなく、「最終的なNPを〇〇Wに収める」という目標を立てましょう。そして、登り坂でパワーが急上昇しないよう意識し、「VIをできるだけ1.05に近づける」ことを目指します。
これにより、無駄なエネルギー消費を劇的に抑え、最後まで脚を残すことができます。
ステップ3 ヒルクライムは過去の自分と勝負する。具体的な成長を実感できるパワーメーターの使い方
FTPの数値に一喜一憂するのではなく、過去の自分自身をベンチマークにすることで、成長をより具体的に実感できます。
アクションプラン
お気に入りのヒルクライムコースで、過去の自分の走行データ(パワーファイル)と競争してみましょう。Garminの「バーチャルパートナー」機能や、Stravaのセグメント機能が非常に有効です。
「2ヶ月前、この15分の峠でのベストパワーは250Wだった。しかし今日、同じ場所で260Wを記録した」
これは、FTPテストの結果がどうであれ、誰にも否定できない明確な成長の証です。この具体的な成功体験が、トレーニングを継続する上で最高のモチベーションになります。
ステップ4 グループライドで賢く走る。エネルギー(W’)を節約して勝負どころに備えるコツ
グループライドでは、いかにエネルギーを節約し、勝負どころで脚を残せるかが重要です。
ここで役立つのが、W’(ダブリュープライム)という概念です。
これはあなたのFTPを超える領域で使える、有限のエネルギー量、いわば「無酸素バッテリー」のようなものです。無駄な加減速を繰り返すと、このバッテリーはどんどん消費されてしまいます。
アクションプラン
集団内でドラフティング(追走)している際は、リアルタイムのパワー表示を見て、できるだけ低いパワーを維持することに集中しましょう。不必要なパワーの急上昇(スパイク)を避けるだけで、W’を温存し、最後のスプリントやアタックに備えることができます。
【片側計測の真実】「あなたのパワメ、本当に正確?」という不安への最終回答
Stagesや4iiiiなど、多くのライダーが片側計測モデルのパワーメーターを使用しています。これらは手頃な価格で導入できる大きなメリットがありますが、注意点も存在します。
片側計測モデルは、左脚(または右脚)のパワーを測定し、それを単純に2倍して全体のパワーを算出します。しかし、ほとんどの人間には脚の筋力や柔軟性に左右差があります。
アクションプラン
まずは、あなたのパワーメーターがどちらの脚を測っているか把握しましょう。そして、疲労が溜まってくると左右差が大きくなる傾向があることを理解しておきましょう。
片側計測の数値は「絶対的な正確性」を求めるものではなく、「一貫性のある指標」として活用することが重要です。常に同じ条件で計測することで、日々の変化や成長を相対的に比較するための、信頼できるデータとなります。
ライド後の「答え合わせ」入門!Garmin/Stravaで見るべき指標はコレだけ

このセクションでは、ライド後にGarmin ConnectやStravaといったアプリでデータを確認する際に、初心者がまずどこに注目すれば良いのか、最重要の指標に絞って具体的に解説します。
これだけは覚えたい最重要ワード「NP」「IF」「TSS」とは?意味をわかりやすく解説
ライドデータの解析画面を開くと、アルファベットの専門用語が並んでいて戸惑うかもしれません。しかし、最初に覚えるべきはたったの3つです。
用語 | フルネーム | 一言で言うと… |
NP | Normalized Power® | ライドの「体感的なキツさ」を反映した平均パワー |
IF | Intensity Factor® | あなたのFTPに対して、どれくらいの強度のライドだったかを示す数値(例: 0.75 = FTPの75%の強度) |
TSS | Training Stress Score® | そのライドの負荷(量×強度)を点数化したもの。1時間全力走が100 TSS。 |
まずは、「今日のライドのNPは〇〇Wで、TSSは△△だったのか」と、数値を記録する習慣をつけるだけで十分です。
Garmin Connectでのパワー解析。ライドの「本当のキツさ」を把握する方法
多くのGarminユーザーが見過ごしがちなのが、ライド詳細画面のサマリー情報です。
チェックポイント
- 平均パワーと正規化パワー(NP)の数値を見比べてみましょう。
- もしNPが平均パワーより大幅に高い場合、それは加減速の多い、生理学的に負荷の高いライドだったことを意味します。
例えば、信号の多い街中を走ったストップ&ゴーの多いライドでは、平均パワーは低くてもNPは高くなる傾向があります。これがライドの「本当のキツさ」を知るヒントです。
Stravaのパワー分析で見えてくる自分の「フィットネスの指紋(PDC)」
Stravaの有料会員機能(または無料アドオンのElevate)を使うと、「パワーディストリビューションチャート(PDC)」を見ることができます。これは、あなたの「フィットネスの指紋」とも言える非常に強力なツールです。
チェックポイント
- このチャートは、過去のライドデータから、各時間(1秒〜数時間)におけるあなたのベストパワーを線で結んだものです。
- FTPという単一の数値ではなく、
「自分の5分パワーは先月から10W上がったな」
「スプリントは苦手だけど、20分以上の持久力はついてきた」
といった、多角的な成長を可視化できます。
テスト不要で持久力向上を測るモノサシ「パワーと心拍数のデカップリング」とは?
最後に、FTPテストをしなくても有酸素持久力の向上を客観的に測れる、少し上級者向けの指標である「デカップリング(乖離率)」を紹介します。
これは、長時間の一定ペース走において、同じパワーを維持しているにも関わらず、疲労によって心拍数がどれだけ上昇していくかを見るものです。
アクションプラン
2時間程度のエンデュランス走(楽に会話ができるくらいの強度)を行い、ライドの前半1時間と後半1時間で、「パワー÷心拍数」の比率を比較します。
後半の比率が前半に比べて5%以上低下していなければ、あなたの有酸素持久力は非常に優れていると判断できます。この数値が改善していくことで、持久力向上が客観的に分かります。
テクノロジーを味方につける!最新「自動FTP検出」機能との賢い付き合い方

このセクションでは、近年のサイクルコンピュータやトレーニングアプリが搭載する「自動FTP検出」機能に焦点を当て、その仕組みと、私たちがその数値をどう賢く活用すれば良いのかを解説します。
GarminからTrainerRoadまで、主要プラットフォームの自動FTP算出方法まとめ
「FTP計測をしたくない」というニーズに応えるように、多くのプラットフォームが自動でFTPを推定する機能を開発しています。しかし、その算出方法は各社で異なります。
プラットフォーム | 算出方法 | 特徴 |
Garmin | ライド中のパワーと心拍変動(HRV)を解析し、乳酸性作業閾値を検出(Firstbeat Analytics, n.d.)。 | テスト不要でシームレスだが、質の高いデータ(高強度走)が必要。 |
Intervals.icu | Intervals.icu:過去の全力走データから「あなたの実力曲線」を自動で描き出し、そこから現在のFTPを推定します。 | 常に最新の値に更新されるが、無酸素運動能力が高いと数値が過大評価されがち。 |
TrainerRoad | AIが全トレーニング履歴(最大努力でなくても)を分析し、機械学習でFTPの変化を検出。 | テストや最大努力が完全に不要な点が画期的。 |
Xert | FTPという概念自体を使わず、「フィットネスシグネチャー」という3つの指標で能力を動的にモデル化。 | 最も先進的だが、従来のFTPベースの考え方からの移行が必要。 |
自動算出されたmFTPの精度は?鵜呑みにせず「参照点」として活用するコツ
これらの自動算出機能(総称してmFTP: modeled FTPとも呼ばれます)は非常に便利ですが、その精度はあなたのライドデータに大きく依存します。
賢い付き合い方のポイント
- 鵜呑みにしない:自動算出されたFTPは、あくまで「推定値」です。その日の体調や感覚と大きくかけ離れている場合は、自分の感覚を信じましょう。
- トレーニングゾーンの「参照点」として使う:算出された数値を基に、大まかなパワートレーニングゾーンを設定し、あとはその日の体調に応じて強度を微調整するための「出発点」として活用します。
- 長期的なトレンドを見る:一度の数値の上下に一喜一憂せず、数ヶ月単位での長期的なトレンドを見ることで、あなたのフィットネスが向上しているかどうかを客観的に判断できます。
FTPという概念からの脱却?Xertが提案する新しいパフォーマンス管理とは
数あるプラットフォームの中でも、カナダ発のXertは特にユニークなアプローチを取っています。
Xertは、FTPという静的な単一指標を使うことをやめ、代わりに以下の3つの動的な指標であなたのフィットネスを常にモデル化します。
- Threshold Power(閾値パワー)
- High Intensity Energy(高強度エネルギー)
- Peak Power(ピークパワー)
あなたのパフォーマンスがモデルの予測を上回った瞬間(=ブレークスルー)を検出すると、これらの指標が自動的に更新されます。
これは、FTPという「点」でフィットネスを評価するのではなく、常に変化する「線」として捉える、まさに次世代のパフォーマンス管理と言えるでしょう。
【結論】あなたに最適なFTP管理法は?タイプ別おすすめデータ分析アプリ・ツール
結局、どの方法が一番良いのでしょうか?答えは、あなたのタイプによって異なります。
- 「設定は最初だけ、あとはお任せ」タイプ
- おすすめ:Garminの自動検出機能
- 理由:特別な操作は不要で、日々のライドから自動で更新提案してくれます。
- 「データ分析が好きで、常に最新の値を知りたい」タイプ
- おすすめ:Intervals.icu
- 理由:無料でありながら非常に高機能。パワー・デュレーション・カーブから常に最新のeFTPを提示してくれます。
- 「構造化されたトレーニングで効率的に強くなりたい」タイプ
- おすすめ:TrainerRoadのAI FTP Detection
- 理由:膨大なデータに基づいたAIの分析は信頼性が高く、テストのストレスから完全に解放されます。
あなたのトレーニングスタイルに合ったツールを選び、テクノロジーを賢く味方につけましょう。
あなたのお好みのパワーメーターはどれ?【2025年最新版】
Q&A:【最後の不安を解消】あなたの疑問に、すべてお答えします

- 仲間に「FTPいくつ?」と聞かれたら、どう答えればいいですか?
無理に答える必要はありませんし、見栄を張る必要も全くありません。一番スマートなのは、正直に、かつ自信を持って答えることです。
「最近測ってないんですよね!でも、この前の〇〇峠は平均280Wでしたよ。あそこ、キツいですよね!」
このように、具体的なライドでのパフォーマンスや体験を共有することで、単なる数字の比べ合いではなく、共感を伴った豊かなコミュニケーションに繋がります。
- 結局、ロードバイクにパワーメーターは必要なのでしょうか?
必須ではありません。しかし、「感覚」だけに頼るのではなく、「データ」という客観的な裏付けを得て、効率的に速くなりたいと考えるなら、パワーメーターは最高の投資になります。
これまで見てきたように、FTP計測という高いハードルを越えなくても、パワーメーターの活用法は無限にあります
。ペース配分、成長の可視化、コンディション管理など、あなたのロードバイクライフをより深く、より楽しいものに変えてくれる可能性を秘めています。
- SSTなどのトレーニングメニューをこなすには、やはりFTPが必要では?
確かに、SST(スイートスポットトレーニング)などの構造化されたトレーニングメニューは、FTPの88〜94%といった形で強度が定義されています。
しかし、そのために必ずしも厳密なFTPテストが必要なわけではありません。本記事で紹介したGarminやTrainerRoadなどの自動算出されたFTPを「大まかな目安」として使えば十分です。大切なのは、その日の体調や感覚に応じて、メニューのパワー設定を柔軟に微調整すること。
例えば、「今日は少しキツいから、目標より5W下げてみよう」といった判断が、オーバートレーニングを防ぎ、継続的な成長を促す上で非常に重要になります。
まとめ:パワーメーターを「審判」から最高の「相棒」へ

FTPという単一の数値から、多角的な「成長の物語」へ
これまで見てきたように、パワーメーターの使い方は決して「FTP計測」だけではありません。FTPという単一の数値に一喜一憂する世界から抜け出すことで、あなたはもっと多くの「成長の物語」を発見できます。
それは、特定の峠での自己ベスト更新かもしれません。あるいは、ロングライドを最後まで安定したペースで走りきれたという達成感かもしれません。これらの多様な成功体験こそが、トレーニングを継続するための最も強力なモチベーションとなるのです。
全てのライドが、あなたの強さを発見するための探求になる
パワーメーターは、あなたを評価する冷たい「審判」ではありません。
- あなたの感覚を研ぎ澄ます「モノサシ」であり、
- あなたをゴールまで導く「羅針盤」であり、
- そして、あなたの成長を見守る最高の「相棒」なのです。
全てのライドが、あなたの強さを発見するための、データに満ちた素晴らしい探求の機会となります。
さあ、データと共に走る新しい冒険へ踏み出そう
あなたが今手にしているのは、FTP計測の呪縛から逃れ、より賢く、より持続可能で、そして何よりも楽しいトレーニングを実践するための、新しい知識とツールです。
次の週末、プレッシャーから解放されて、純粋にライドを楽しんでみませんか?そして、家に帰ったらそっとGarmin Connectを開いてみてください。
そこには、あなたの汗と情熱が刻まれた、新しい冒険の地図が広がっているはずです。
あなたのロードバイクライフは、今日、新しい章の始まりを告げました。もう、誰かが決めた基準に怯える必要はありません。全てのライドが、あなただけの強さを発見するための、データに満ちた素晴らしい冒険になるのです。
さあ、ガレージに眠る最高の相棒(ロードバイク)と共に、新しい冒険へ出発しましょう。あなたのペダルが、昨日までの自分を超える未来を、今切り拓きます。
参考文献・引用元リスト
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https://www.baronbiosys.com/real-time-ftp-determination/
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Firstbeat Analytics. (n.d.). Functional threshold power (FTP). Garmin Technology. https://www.garmin.com/en-US/garmin-technology/cycling-science/physiological-measurements/ftp/
Friel, J. (2016). The cyclist’s training bible. VeloPress.
Garmin. (n.d.). Setting up your power zones. Garmin Support.
Skiba, P. F., Chidnok, W., Vanhatalo, A., & Jones, A. M. (2012). Modeling the expenditure and reconstitution of work capacity above critical power. Medicine and Science in Sports and Exercise, 44(8), 1526–1532.
https://doi.org/10.1249/MSS.0b013e318251d49e
TrainingPeaks. (n.d.). Normalized Power. TrainingPeaks Help Center. https://help.trainingpeaks.com/hc/en-us/articles/204071804-Normalized-Power
Vanhatalo, A., Jones, A. M., & Burnley, M. (2011). Application of critical power in sport. International Journal of Sports Physiology and Performance, 6(1), 128-136.
https://doi.org/10.1123/ijspp.6.1.128
Garmin Technology | Functional Threshold Power (FTP):
https://www.garmin.com/en-US/garmin-technology/cycling-science/physiological-measurements/ftp/
TrainingPeaks | What Is Normalized Power® (NP)?:
https://www.trainingpeaks.com/learn/articles/what-is-normalized-power/
TrainerRoad Blog | What is FTP and How is it Used in Cycling?:
https://www.trainerroad.com/blog/what-is-ftp-and-how-is-it-used-in-cycling/
Xert | Understanding Your Fitness Signature:
https://www.baronbiosys.com/