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ロードバイク ディスクブレーキパッド 寿命

ロードバイクのディスクブレーキパッド寿命、厚さ0.5mmが限界?交換時期と点検のコツ

この記事を読んでわかること

・シマノ「摩擦材0.5mm」とSRAM「総厚2.5mm」の違いを理解し、正確な交換時期を判断できる
・レジンパッドとメタルパッドの特性を把握し、自分の走り方に合った素材を選べる
・残量チェックに必要な工具と、目視だけでは危険な理由がわかる
・パッド交換の具体的な手順と、ショップ依頼時の工賃相場を知ることができる
・パッド寿命を延ばすメンテナンス術と、異音が発生した際の対処法を身につけられる
・模倣品を避ける購入方法と、2026年のおすすめモデルを確認できる

はじめに

長い下り坂。ブレーキレバーを握りしめながら、ふと不安がよぎったことはないだろうか。

「あれ、効きが悪くなっている気がする……」
そんな違和感を覚えた瞬間、週末の楽しいライドは一転して、じわりとした恐怖に変わる。
制動をかけるたびに響く「キーッ」という甲高い音。

周囲のサイクリストの視線が気になって、集中できない。

「このまま走っていいのか」
「どこかが壊れかけているのでは」。

そんなモヤモヤを抱えながら峠を下るのは、ストレス以外の何物でもありません。

ディスクブレーキは雨天でも安定した制動力を発揮する優れたシステムです。

けれども、その心臓部であるブレーキパッドの管理については、「なんとなく大丈夫だろう」で済ませている方が多いのが実情でしょう。

この「なんとなく」という楽観が、ある日突然、制動不能という最悪の事態を招くこともあるのです。

パッドを使い切って危うく事故になりかけたライダーも少なくないと思います。
今まで、間違った判断でローターまで損傷させてしまったケースなど、そうした場面を何度も目にしています。

本記事では、ディスクブレーキパッドの寿命管理について「本当に知っておくべきこと」をお伝えします。
読み終える頃には、パッドの残量を正確に判断し、適切なタイミングで交換できるようになっているはずです。

さあ、あなたの愛車のブレーキを、一緒に点検していきましょう。

慢心と0.5mmの境界線|交換時期を見誤らないための判断基準

0.5mmという数字の正体|シマノが設定した物理的限界

ディスクブレーキパッドの交換時期を見極めることは、安全なロードバイクライフの根幹です。けれども、この「交換時期」という概念が、メーカーによって微妙に異なることをご存知でしょうか。

多くの方が「パッドは0.5mmになったら交換」という情報を目にしたことがあるでしょう。
この数字自体は正しいものの、何を0.5mmと測定するのかという点で混乱が生じています。結論から言えば、シマノとSRAMでは測定基準が異なるのです。

シマノの技術資料(ディーラーマニュアル)には、「摩擦材(ライニング)の厚みが0.5mmになった時点」で交換と明記されています。

パッドは実際にローターと接触する「摩擦材」と、それを支える金属製の「バックプレート」から構成されている。この摩擦材だけを測定するのがシマノ方式です。

では、具体的な数値を見てみましょう。

新品のシマノ製パッド(L05AやL04C)をノギスで計測すると、総厚は約4.0mm。このうち摩擦材は約2.0mmを占めています。つまり、計算式は以下のようになります。

取得方法
ノギスによる新品パッド計測

計算式
総厚4.0mm − バックプレート厚約2.0mm =摩擦材初期値2.0mm

結果
摩擦材が1.5mm摩耗した段階(残り0.5mm)で交換限界に達する

この「0.5mm」という数値には深い意味があります。

シマノのパッドには「パッドスプリング」が装着されており、摩擦材が0.5mmを下回ると、このスプリングがローターに接触し始める設計となっているのです。

スプリングがローターに接触すれば、異音の発生だけでなく、スプリングの破損やローターへのダメージを引き起こします。

さらに、摩擦材が薄くなりすぎると断熱性能が著しく低下し、摩擦熱がバックプレートを通じてピストンへ直接伝達されるリスクが高まります。

これがブレーキフルードの沸騰(ベーパーロック)を誘発する熱的トリガーとなるため、0.5mmは「安全マージン」ではなく、熱力学的な限界値といえるでしょう。

SRAMとカンパニョーロ|それぞれの哲学

①SRAM

SRAMは「バックプレートを含む総厚が2.5mm」(または摩擦材単体で0.4mm未満)になった時点での交換を指示することが多いようです。

バックプレート厚が約1.5〜1.6mmであるため、実質的な摩擦材残量は1.0mm弱となる計算になります。

SRAMが総厚管理を推奨する背景には、キャリパーピストンの「突出限界」への配慮があります。
油圧ディスクブレーキはパッドが摩耗すると自動的にピストンがせり出す機構(オートアジャスト)を持っていますが、ピストンが設計範囲を超えて飛び出すと、シールとの接触面積が不安定になる。

その結果、フルード漏れやピストンの戻り不良を引き起こす原因となるのです。

②カンパニョーロ

カンパニョーロはユニークなアプローチを取っています。

摩擦材が残り1.5mmに達した時点で金属製クリップがローターに接触し、意図的に可聴音を発生させる「ウェアインジケーター」を採用しているのです。

自動車のブレーキシステムに見られる警告機構と同様の発想といえます。シマノの0.5mmより早い段階で警告が出るのは、カンパニョーロがより高い安全マージンを設定していること、そして同社のブレーキシステムが高い制動力を発揮する分、熱容量の確保を重視していることの表れと推察されます。

【メーカー別パッド交換基準の比較表】

メーカー交換基準測定対象特記事項
シマノ摩擦材0.5mm以下で交換摩擦材のみパッドスプリング接触が設計基準
SRAM総厚2.5mm以下で交換バックプレート込みピストン突出限界への配慮
カンパニョーロ1.5mmで警告音ウェアインジケーター早期警告システム採用

目視だけでは危険|正確な残量チェック方法

多くのライダーがホイールを装着したままキャリパーの隙間から目視で残量を確認しようとしますが、これは極めて不正確な方法です。

キャリパー内部はブレーキダストで黒く汚れており、影と摩擦材の境界が見分けにくい。この手間を惜しんで不正確な判断をした結果、ローターを傷つけてしまえば、1万円以上の出費になることもあります。

正確な計測手順をご紹介しましょう。

STEP1
ホイールを取り外し、視界を確保します。
STEP2
固定ピンやスナップリングを外し、パッドをキャリパーから抜き取ります。これにより偏摩耗(斜め減り)の確認も同時に行えます。
STEP3
ノギスを使用し、シマノの場合は摩擦材のみを、SRAMの場合はバックプレート込みの総厚を計測してください。

計測にはノギスの使用を強くお勧めします。
デプスバー(段差測定)を使用するか、バックプレート厚を差し引いて摩擦材のみを計測する方法が確実です。

簡易的な「厚みチェッカー」を使用する場合も、パッドを取り外した状態で行うことで精度が飛躍的に向上します。

五感が告げる危険信号|音と手応えを見逃すな

数値管理が基本ですが、ライド中のトラブルを検知するには五感による診断スキルも不可欠です。

聴覚的サイン

「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」という低周波の金属音は緊急事態のサインです。

摩擦材が消失し、バックプレートがローターを直接削っている音だからです。
この状態で走り続けるとローターに深い傷が入り、再利用不可能になります。即座に停止してください。

一方、「キーッ」という高周波の鳴きは、必ずしも寿命を示すものではありません。
多くの場合、油分付着(コンタミネーション)やパッド表面の熱硬化(グレージング)による共振です。

ただしメタルパッドは正常でも湿気や冷えで鳴きやすい傾向があるため、音質による区別が必要になります。

触覚的サイン

レバーを深く握り込まないと効かない感覚や、フワフワしたスポンジのような感触がある場合は、パッド残量不足の可能性があります。

油圧システムはパッドが減ってもレバーの引きしろが変わらないように設計されているものの、限界付近では変化が生じるのです。

特に長い下りの最中にこれを感じたら、システムが熱容量の限界を超えているサイン
すぐに休憩して冷却してください。

ブレーキパッドに関するQ&A

パッドの寿命は具体的に何km持ちますか?

環境により大きく変動するため、一概には言えません。
体重60kgのライダーが平坦・ドライ条件で運用した場合の目安として、レジンパッドで3,000〜5,000km、メタルパッドで5,000〜8,000km以上というデータがあります。

とはいえ、雨天走行ではレジンの寿命が10分の1以下になることもあるため、走行距離だけで判断せず、定期的な残量確認が不可欠です。

静寂か堅牢か|素材が決める走りの未来

レジンパッドの魅力と限界

パッドを選ぶ際、最も悩ましいのが「レジン(有機)」と「メタル(焼結)」のどちらを選ぶべきかという問題でしょう。

結論から言えば、この選択に絶対的な正解はありません。あなたの走り方と環境によって、最適解は変わってきます。

シマノのロードコンポーネントに初期装備されているのは主にレジンパッドです。ガラス繊維やケブラーなどの有機繊維を熱硬化性樹脂で結合させた複合材料で、静粛性とコントロール性に優れています。

レジンパッドの最大の魅力は、低温時から安定した制動力を発揮し、不快な音鳴りが少ない点にあります。
柔らかい素材がローターの微細な凹凸に食いつくため、ブレーキをかけた瞬間からリニアな効きを実感できるでしょう。

また、樹脂は熱伝導率が低いため、摩擦熱がキャリパーやフルードに伝わるのを防ぐ「断熱材」の役割も果たします。長い下り坂でのベーパーロック防止に寄与する重要な特性です。

ただし、絶対的な摩耗速度は速く、特にウェット環境では劇的に寿命が短縮されます。
雨天走行時、路面から巻き上げられた水に含まれる砂や泥がローターとパッドの間で研磨剤として機能するのです。

ドライ環境なら数千キロ持つパッドが、雨天の山岳ライド1回で大幅に消耗するケースもあります。これを「ウェットコンディション係数」と呼ぶなら、レジンにおいてはこの係数が10倍以上になることも稀ではありません。

メタルパッドという選択肢

メタルパッドは銅、鉄、グラファイトなどの金属粉末を高温高圧で焼き固めたもので、物理的に極めて硬い特性を持っています。

耐摩耗性はレジンの1.5〜2倍以上とされ、泥や砂が介在する過酷な環境でも構造が崩れにくいのが特徴です。
シクロクロスやグラベル、雨天通勤では、多くの場合メタルパッドが有利な選択肢となります。

ただし、メタルパッドにはトレードオフがあります。まず、ローター攻撃性が高く、ローターの交換頻度は上昇する傾向にあります。また、金属成分が多いため熱伝導率が高く、摩擦熱をキャリパー内部へ伝えやすいという特性もある。冷間時や水濡れで高周波の鳴きが出やすい点も覚えておくとよいでしょう。

【レジンパッドとメタルパッドの比較表】

特性レジン(有機)メタル(焼結)影響の考察
ドライ寿命3,000〜5,000km5,000〜8,000km以上コストパフォーマンスに直結
ウェット寿命50〜500km(激減の可能性)500〜1,500km雨天走行時の最大リスク要因
静粛性優れている鳴きやすい市街地走行の快適性に影響
ローター攻撃性低い高いローターコストを含めた総運用費で判断
耐フェード性低め(樹脂がガス化)高い山岳コースでの安全性に関与

※寿命は体重60kg・平坦路での目安。体重や走行条件により変動します。

環境別の選び方|レジンとメタルをどう使い分けるか

平坦・ドライ(一般的なロード走行)

静粛性を重視するならレジンが最適です。
ローターへの攻撃性も低く、トータルコストを抑えやすい長所が魅力です。

シマノの最新レジンパッドL05Aは前モデル(L03A)から摩擦材の配合を見直し、耐摩耗性が50%向上したと公表されています。
晴天主体のライダーなら、この選択で間違いありません。

山岳・混合(獲得標高が多いコース)

体重70kg以上、または獲得標高が多いライダーにはメタルが有利です。
耐フェード性の高さが長い下りでの安心感につながります。

体重90kgのライダーが10%の勾配を下る際のブレーキ負荷は、体重60kgのライダーに比べて1.5倍以上のエネルギー散逸が必要となります。重量級のライダーほど、メタルパッドの恩恵を強く感じられるでしょう。

ウェット・泥(グラベル/雨天通勤)

この環境では多くの場合メタルが有利です。
レジンはコスト面でも安全面でも厳しい選択肢となります。

ただし、メタルパッドを使用する場合はローターの消耗も早くなる傾向があるため、比較的安価なステンレスローターと組み合わせるのが経済的に合理的です。

重要な注意点

レジンとメタルは互換性があり、同じキャリパーで切り替え可能です。

ただし、シマノのローターには「Resin pad only(レジン専用)」と表記されているもの(SM-RT30など)があります。
このローターにメタルパッドを使用すると摩耗が急速に進行するため、パッド変更前には必ずローターの刻印を確認してください。

ブレーキパッド素材についてのQ&A

レジンとメタルを前後で混在させても大丈夫ですか?

前後で異なる素材を使うこと自体は問題ありません。

例えば、制動力の7割を担うフロントにメタル、リアにレジンという組み合わせも有効です。
ただし、「Resin pad only」のローターにはメタルパッドを使用しないでください。ローターの寿命が大幅に短縮されます。


初めてのロードバイク選びで迷っている方は、「【2026年最新】ロードバイク初心者が予算15万円で後悔しない選び方 | 30代から始める完全ガイド」もぜひご覧ください。

愛車との対話|初心者でもできるパッド交換の全手順

必要な工具と交換前の心構え

油圧ディスクブレーキのパッド交換は、油圧ラインに触れる必要がないため、リムブレーキのシュー交換と同程度の難易度です。
ただし、いくつかの注意点を守らないと、システムを損傷させる可能性があります。

必須工具

・ラジオペンチ(パッドピン抜き用)
・パッドスペーサー(ピストン飛び出し防止)
・タイヤレバーまたはピストンプレス(ピストン戻し用)
・イソプロピルアルコールと清潔なウエス ・ノギス(残量確認用)

交換前の最重要注意点

パッドを外した状態で絶対にブレーキレバーを握らないでください。
ピストンが飛び出し、二度と戻らなくなる可能性があります。

パッドを外す前にパッドスペーサーを準備しておくこと。これは鉄則です。

具体的な交換手順

YouTube「Bicycle Garage バイシクルガレージ」より

STEP1
ホイールを取り外し、キャリパーの隙間からパッド残量を目視確認します。
この段階で明らかに残量があれば、交換を見送ることも選択肢になります。
STEP2
シマノの場合、スプリットピン(割りピン)をラジオペンチで抜き、パッドを上方向にスライドさせて取り外します。
パッドスプリングも一緒に外れるので紛失に注意してください。小さなパーツですが、これがないとパッドが正常に機能しません。
STEP3
キャリパー内部とピストンをイソプロピルアルコールで清掃します。パーツクリーナーはシールを傷める可能性があるため、必ずアルコールを使用してください。
この工程を省略すると、新しいパッドに油分が付着し、初期制動力が大幅に低下することがあります。
STEP4
タイヤレバーの平らな面でピストンを左右均等に押し戻します。
片側だけ押すともう片側が飛び出るので、交互に少しずつ押すのがコツです。
この動作を「揉み出し」とも呼びます。
STEP5
パッドスプリングを2枚のパッドで挟み、キャリパーに上からスライドさせて挿入し、スプリットピンで固定します。
ピンがしっかり差し込まれているか、目視と触感で確認してください。
STEP6
ホイールを装着し、ブレーキレバーを数回握ってパッドがローターに当たる感触を確認します。
最初は握り込みが深く感じられることがありますが、数回の操作でピストンが適正位置に戻ります。

性能を引き出すベディング(当たり出し)

新品パッド交換後の「ベディング」は、パッドの寿命と性能を決定づける重要作業です。適切な熱と圧力を加えることで、パッドの摩擦材成分をローター表面に微細に転写させ、摩擦材転写層(トランスファーフィルム)を形成させます。

これによりパッドとローターの摩擦力が安定し、耐摩耗性も向上するのです。

手順はシンプルです。

安全な場所で時速20〜30kmまで加速し、ロックさせない程度の強さで減速します。
このとき完全停止はしないでください。
停止するとパッド成分が局所的に焼き付き「ホットスポット」が生じます。この加速→減速を10〜20回繰り返し、制動力が明確に立ち上がる感覚が得られれば成功です。

ベディング失敗による「グレージング」(パッド表面の硬化)が起きた場合は、サンドペーパー(180〜240番)で表面を軽く削って再ベディングするか、重度であればパッド交換が必要になります。

ショップ依頼という選択肢

「自分でやるのは不安」という方は、プロショップへの依頼を検討してください。
工賃の目安は以下の通りです。

パッド交換のみ1,500〜3,000円程度
ローター交換追加前後で3,000〜5,000円
フルード交換5,000〜8,000円程度

予約時のコツとして、「パッドの型番」と「バイクのモデル名」を伝えておくと、在庫確認や作業見積もりがスムーズになります。

混雑期(GW前、シルバーウィーク前)は早めの予約をおすすめします。

ブレーキ交換後のQ&A

交換後にブレーキの効きが悪いのですが、どうすればいいですか?

多くの場合「ベディング」が原因です。

時速20〜30kmからの減速を10〜20回繰り返してください。
それでも改善しない場合は、パッドやローターに油分が付着している可能性があります。

イソプロピルアルコールで脱脂し、パッド表面をサンドペーパーで軽く削ってから再ベディングを試してみてください。

静かな走りを守る|異音対策とメンテナンスの極意 

キーキー音の正体を見抜く

ブレーキからの異音は、その音質で原因を推測できます。対処法を誤ると症状が悪化することもあるため、まずは原因の特定が重要です。

原因1:油分付着(コンタミネーション)

チェーンオイルの飛散や素手でローターを触ることで発生します。
油分がパッドに染み込むと、制動力の低下と不快な音鳴りを引き起こします。

対処法は、イソプロピルアルコールでローターを脱脂し、パッドにも油分が染み込んでいれば表面をサンドペーパーで削るか交換します。

深く染み込んでいる場合は、削っても油分が滲み出てくるため、潔く交換するのが得策です。

原因2:グレージング(熱硬化)

ベディング不足や急制動でパッド表面が硬化し、鏡のように光っている状態です。

厚みが残っていても摩擦係数が低下しているため、サンドペーパー(180〜240番)で軽く削り、新しい摩擦面を露出させて再ベディングします。

表面の炭化が深刻な場合は交換が必要です。

原因3:メタルパッドの特性

メタルパッドは正常な状態でも湿気や冷間時に鳴きやすい傾向があります。

完全に消すのは困難であり、これは素材の特性として受け入れるしかありません。
どうしても許容できなければ、レジンへの変更を検討してください。

ローターとの経済的バランス

ローターにも使用限界厚があります。

シマノ1.5mm
SRAM1.55mm
カンパニョーロ1.85mm

が一般的な基準です。

限界を下回ったローターは熱容量不足でフェードしやすく、最悪の場合は破断の危険もあります。
パッド交換2〜3回につき、ローターの厚みも計測する習慣をつけてください。

経済性を考慮した運用戦略は以下の通りです。

レジン運用の経済性

パッドは消耗品と割り切り、高価なローター(Ice-Tech Freezaなど)を長持ちさせる戦略。多くのロードライダーにとって、トータルコストは安くなる傾向にあります。年間5,000km以下で晴天主体ならこちらがおすすめです。

メタル運用の経済性

パッド交換の手間を減らしたい、または泥天候での走行が多い場合に有効。ただし、ローターは消耗品となるため、比較的安価なステンレスローターと組み合わせるのが経済的合理的です。年間10,000km以上または雨天走行が頻繁ならこちらを検討してください。

フェードを防ぐブレーキング技術

長い下りでブレーキが効かなくなる「フェード」は、パッドやローターの過熱が原因です。特にレジンパッドは樹脂がガス化し、摩擦係数が低下します。

予防の基本は「ブレーキをかけっぱなしにしない」こと。強く短くかけてインターバルを置き、冷却時間を与えます。前後ブレーキを交互に使う方法も有効です。効きが悪くなったら無理せず停車して5分冷却してください。

フェードに強い構成を目指すなら、メタルパッド+放熱フィン付きローター(Ice-Tech Freeza)の組み合わせが有効です。山岳コースを頻繁に走る方は投資を検討してください。シマノの上位モデルでは放熱フィン(アイステクノロジー)を装備し、空気冷却を促進する設計となっています。

ブレーキパッド使用限界厚に関するQ&A

0.5mmになったら本当にすぐ危険ですか?

シマノ製の場合、0.5mm以下でパッドスプリングがローターに接触する設計となっています。スプリング接触による異音や破損リスクだけでなく、断熱性能低下によるベーパーロックの危険性も高まります。「まだ走れる」状態ではあっても、「安全に走れる」状態ではないことを理解してください。早めの交換を心がけることが大切です。

偽物に騙されない|安全な購入方法と2026年おすすめモデル

模倣品の見分け方

シマノのL05Aの偽物が流通しています。

偽物パッドは摩擦材の品質が低く、制動力不足や異常摩耗、最悪の場合は走行中の剥離という危険があります。
命に関わるパーツだからこそ、購入先の選定は慎重に行ってください。

見分けるポイントは、まず価格です。L05A-RFの正規価格は2,500〜3,000円程度で、これを大幅に下回る場合は要注意。
パッケージの印刷品質(ぼやけ、色ムラ)や摩擦材表面の仕上げにムラがないかも手がかりになります。

推奨購入先

・正規ディーラーのプロショップ ・シマノ公式オンライン ・大手自転車通販(ワイズロード、サイクルベースあさひなど)

注意が必要な購入先

・出所不明の海外通販 ・フリマアプリ(メルカリ、ヤフオクなど) ・極端に安い並行輸入品

2026年版おすすめパッド

万人向け:シマノ L05A-RF

前モデルから耐摩耗性50%向上を実現した最新レジンパッド
放熱フィン付きで熱対策も万全です。一般的なロードライダーの第一選択肢として、間違いのない製品といえるでしょう。
静粛性とコントロール性のバランスが秀逸で、晴天主体のライダーには最適です。

山岳・悪天候向け:シマノ L04C-MF

メタル素材による高耐久性と放熱フィンによる耐フェード性を両立。
体重の重いライダーや山岳頻繁走行者におすすめです。
ローター攻撃性はレジンより高いものの、その分パッド自体の寿命は大幅に向上します。

SRAM用:オーガニックパッド/シンタードパッド

それぞれレジン・メタルに対応。SRAMユーザーは自社純正パッドの使用をおすすめします。
サードパーティ製品も使用可能ですが、制動フィーリングの一貫性を考えると純正が無難です。

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※価格は2026年1月現在の参考価格。販売店や時期により変動します。

まとめ

それでは、ディスクブレーキパッドの寿命管理について、重要ポイントをまとめていきましょう。

交換基準はシマノ「摩擦材0.5mm」、SRAM「総厚2.5mm」
測定対象の違いに注意してください。
これを混同すると、まだ使えるパッドを捨てたり、逆に限界を超えて使い続けたりするリスクがあります。

素材選びは、静粛性とローター保護重視ならレジン、耐久性と悪天候対応ならメタル
どちらにも一長一短があり、絶対的な正解はありません。あなたの走行環境と優先順位に合わせて選んでください。ローターの「Resin pad only」表記の確認も忘れずに。

パッド交換は正しい手順を守れば初心者でも可能です。ただし交換後のベディングを忘れないこと。この工程を省略すると、パッドの性能を100%発揮できません。
購入時は偽物に注意し、正規ルートを利用してください。命に関わるパーツに節約を求めるのは賢明とはいえません。

ディスクブレーキはあなたの命を守る最後の砦です。その心臓部であるパッドの管理を怠ることは、自らの安全を軽視することに他なりません。

さあ、今すぐパッドの残量をチェックしよう

この記事を読んで、「うちのバイクのパッドはどうなっているんだろう?」と気になった方も多いのではないでしょうか。

今すぐ確認してみてください。ホイールを外し、パッドを抜き取り、厚みを測る。たった10分の作業で、あなたの安全が確保されます。

もし残量が心許ないなら、次のライドまでに交換を済ませましょう。「まだ大丈夫だろう」という油断が、取り返しのつかない事態を招くこともあるのです。

次の週末、自信を持って坂を下る自分を想像してください。

パッドの残量を把握し、適切なタイミングで交換する習慣を身につけたあなたは、もう不安に駆られることなく、純粋にライドを楽しめるはずです。

安全で快適なサイクリングライフのために、パッドの管理を習慣化すること。
それが30年以上この世界で仕事をしてきた私からの、最も大切なアドバイスです。

素敵なライドを!


参考文献・引用

※本記事は、以下の資料・データに基づき作成いたしました。
※本記事の価格は2026年1月時点のものです。最新の在庫状況や価格については、各販売店の公式サイトまたは店頭でご確認ください。モデル年式や仕様は予告なく変更される場合があります。
※スペック情報について:本記事のスペック情報は2026年1月時点のものです。詳細は、各メーカーのHP等でご確認ください。
※安全に関する注意:ロードバイクは車両です。道路交通法を遵守し、ヘルメット着用、適切な装備での走行を心がけてください。不安な場合は、必ずプロショップに相談してください。

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